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FP学習日誌(9) -生命保険の制度としくみ その3「配当金」

配当金の仕組み
今日は配当金についてです。保険料は前回お伝えした通り、3つの予定率(予定死亡率・利率・事業費率)で算定されていますが、毎年度末の決算では剰余金が生じることがあります。剰余金は次の3利源から生じます。
死差益
字のごとく、ですね。
予定死亡率で見込まれた死亡者数 > 実際の死亡者数
の場合に生じる利益のことです。
利差益
予定利率による運用収入見込み < 実際の運用収入
の場合に生じる利益のことです。
費差益
予定事業費率によって見込まれた事業費 > 実際の事業費
の場合に生じる利益のことです。
これらによって剰余金が生じた場合、それが配当金の原資となります。

次に、配当金の種類です。
通常配当(普通配当)
3利源配当タイプの「毎年配当型」では、通常、契約後3年目の契約応当日から毎年支払われる分配金のことをいいます。利差配当タイプの「5年ごと利差配当型」では、契約後6年目の契約応当日から5年ごとに支払われる配当金です。
特別配当
通常配当とは別に、長期継続契約に対して支払われる配当金です。所定年数を経過した契約が、満期、死亡もしくは解約などで消滅するときなどに支払われます。

そして配当金の受取方法は4つあります。
積立方法
配当金を生命保険会社に積み立てておき、保険金や解約返戻金を受け取るときに一括して受け取る方法です。積み立てられた配当金は所定の利率で複利運用され、契約者からの請求により途中引き出しも可能です。
保険金買増方法
配当金で自動的に保険金を買い増して行く方法です。死亡保障を増やしたり満期保険金を増やしたりする仕組みになっているため、途中引き出しは不可です。
保険料相殺方法
保険料と配当金を相殺する方法です。差額分が支払う保険料になります。
現金支払方法
年1回、配当金を現金で受け取る方法です。

配当金を基準として、①有配当保険と②無配当保険に分類することもできます。
①有配当保険
3つの予定基礎率と実際の差によって生じる剰余金(死差益、利差益、費差益)がある場合に、契約者に配当金を分配する生命保険です。
死差益と費差益からは配当金を出さず、利差益のみから配当を分配するものを「利差配当タイプ」といい、代表的なものに「5年ごと利差配当付保険」があります。
②無配当保険
配当金を分配しない生命保険です。有配当保険よりも予定基礎率を実際の率に近づけることにより配当金を分配せずに、その分保険料が安くなっています。

積立利率変動型保険の仕組み
契約時に適用される予定利率は保険期間中一定で、契約後に変更されることはありませんが、積立利率変動型保険では、契約後の積立利率を金利環境等の変化に応じて一定期間ごとに見直しをします。
ただし、契約時の予定利率を最低保証しているものが一般的であり、保険会社の資産運用状況等が悪化しても、最低保証される利率を下回ることはありません。また、最低保証される利率に応じて保険金額、年金額、解約返戻金額等も最低保証されます。
一方、積立利率の見直しによって適用される利率が最低保証される利率より高く設定された場合、保険料の引き下げはありませんが、積立金が発生・増加し、それによって積立利率が低くなっても、いったん増加した積立金が減らない「ラチェット*」機能が付いている保険商品が一般的です。
*ラチェット(ratchet)・・・機械工学で用いられる機構の名称、歯止め(爪)のこと。

配当についてはここまでです。
次回は「約款」、あの小さい字でいっぱい書かれているあれについてです。(つづく)

※画像と本文は関係ありません。

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