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FP学習日誌(20) -生命保険設計その2

前回は死亡に伴うリスクとして、大黒柱のお父さんが亡くなることに対する保障についてでした。今回は「長生きに伴うリスク」と「病気・ケガに伴うリスク」です。今回も、夫が先に亡くなって奥さんが残されるシナリオです。

2. 長生きに伴うリスク
(1) 必要準備資金の算出方法
必要準備資金=老後生活資金(総支出)ー(公的保障+企業保障+退職時点の金融資産)(総収入)
【総支出】
夫婦2人期間の老後生活資金+妻1人の老後生活資金
【総収入】
公的保障+企業保障+退職時点での金融資産
テキストでは、夫婦の老後生活資金は現在の7割、妻1人の期間は5割とされていますが、個別の状況に応じて適切な割合を検討することが必要でしょう。
(2) 老後生活資金
① 老後の生活費
総務省の家計調査報告によれば、高齢夫婦無職世帯の実収入は、一世帯当たり月平均約22万円で、その9割を公的年金等が占めています。また、可処分所得から消費支出を差し引くと毎月約4万円の不足が生じています。この計算だと年48万円、25年で1,200万円になります。少し前に「2千万円不足」と騒いでいた試算よりは楽観的ですね。
② 準備方法の選択
必要準備資金については、トータルでいくらかかるのかに加えて、いつ必要になるかも重要です。
NISAやiDeCoを活用して老後の生活費を準備しておく他に、個人年金保険に加入して私的年金を作っておくことが考えられます。個人年金保険の加入目的として、公的年金を受給するまでの期間の収入(つなぎ年金)としたいのか、公的年金だけでは不足が見込まれるため終身受取りたいのかを検討します。
(3) 介護費用
高齢になって介護が必要になったときは、公的介護保険制度によって利用枠の一部負担にとどめることができますが、介護にかかる費用の準備が十分ではないという場合は、民間の介護保険への加入も検討が必要になります。民間の介護保険を利用して準備する必要があるのは、「公的介護保険の対象となっていない範囲に備える費用」および「公的介護保険を利用するときの自己負担となる費用」の2つです。

3. 病気・ケガに伴うリスク
(1) 公的医療保障
① 医療保険制度の自己負担
医療保障における公的保障としては、健康保険などの公的医療保険制度があります。準備すべき必要資金としては、一定割合の自己負担分と、公的医療保険適用範囲外の費用になります。75歳未満の療養の給付にかかる自己負担(一部負担金)の割合は、外来・入院とも共通で次の通りです。
・小学校就学前と70歳以上75歳未満*・・・2割
・小学校~70歳未満・・・・・・・・・・3割
*70-75歳では、一定以上の所得がある場合は3割となります。
また、医療機関に支払う自己負担額が所定の限度額(たとえば協会けんぽでは、70歳未満の場合、所得によって月24,600~140,100円など)を超える場合は、高額医療費制度を利用できます。これ、ご存じない方多いのではないでしょうか。民間の医療保険にいっぱい加入していて、せっかく病気やケガをしても(笑)、公的保険でほとんどカバーされて、高い保険料を支払い続けていた保険からはほとんどもらえなかった、みたいなことってよくあります。いま一度、自分の会社の健保の「高額医療費制度」をよくみてみて、加入している医療保険の見直しをしてみましょう。
② 後期高齢者医療制度
原則として75歳になるとそれまで加入していた健康保険などを脱退して、後期高齢者医療制度の被保険者になります。療養の給付にかかる自己負担の割合は、1割(現役並み所得者は3割)です。なお、後期高齢者医療制度においても高額療養費制度があります。
※公的医療保障については、のちに「リタイアメントプランニング」でも学びます。
(2) 医療費の自己負担に備えるための保険設計
① 一般的な医療保障
生命保険や個人年金保険の主契約に医療関係特約を付加する方法がまず挙げられます。または、死亡保障を必要としない場合には、医療保険を単品購入するのが良いでしょう。
② 特定の病気・症状に備える保障
ガン保険特約や三大疾病などに備えるための生前給付保険も、ニーズによって検討します。また、介護費用に備える介護保障保険や介護特約もあります。

以上、「死亡」「長生き」「病気・ケガ」という3つのリスクのための保険設計でした。次回は「ライフステージ別の保険設計」です。

※画像と本文は関係ありません。

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