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FP学習日誌(23) -損害保険の制度と仕組み その1

今日から「損害保険」です!
保険業法においては、生命保険と損害保険を次のように定義しています。
・生命保険・・・人の生死に関し一定額の保険金を支払う保険
・損害保険・・・偶然の事故によって生ずることのある損害を補填する保険
また、このふたつを保険給付の方法に基づいて分類すると、
・生命保険・・・人の生死に関して一定の金額を支払うことから「定額払」
・損害保険・・・損害を補填することから「実額払
となります。
ところで、以前にも出てきましたが、「第三分野の保険」と呼ばれるものがあります。これは、「人の生死+定額=生命保険」(第一分野)と、「偶然の事故+実額=損害保険」(第二分野)のいずれにも属さない中間的な性格の保険です。医療保険、ガン保険、介護保険、傷害保険などがこれに該当します。これらは、人の生死にかかわる保険ではない点で生命保険と異なり、また、損害額の算出が困難で実損補填の定義になじまない点で損害保険とも異なります。

それでは「損害保険の仕組み」をみていきましょう。
1.損害保険の基本用語
これまで見てきた生命保険と同じ用語、似た用語もありますね。それぞれの詳しい意味は記しませんが、主なボキャブラリーを分野ごとにあげておきます。
(1) 約款関連
保険約款、保険の目的(建物や家財など)、被保険利益(人と物の利害関係のこと)、保険期間(通常1年)、告知義務、通知義務、免責、故意、重過失、失効 など
(2) 契約関連
再調達価額、時価、保険価額(通常は時価と同じ)、保険金額(契約で設定する限度額)、保険金、一部保険、超過保険(保険金額が保険価額を超える場合のこと)、全部保険(保険金額=保険価額のこと、実損払い)、保険料、料率 など
(3) 給付関連その他
実損払い、比例払い、元受保険、再保険 など

2.損害保険の基本原則
(1) 大数の法則
生命保険でも出てきましたね。少数では不確定にみえることでも、大数についてみれば一定の確率で起きているという法則です。
(2) 収支相等の原則
これも生命保険と同様、保険は、加入者が支払う保険料で保険金を支払うことになっているので、保険料の総額は保険金の総額と相等するというのが原則です。
(3) 給付反対給付均等の原則
キュウフハンタイキュウフキントウ、と早口言葉のようですね(笑)。加入者各人が負担する保険料は、リスクの度合いに比例すべきという原則です。リスクの高い人には高い保険料を、低い人には低い保険料を適用することになります。
(4) 利得禁止の原則
損害保険は損害の填補を目的としているので、保険で得をしてはいけないという原則です。これがもしなければ、恣意的な事故が誘発される可能性があるでしょう。

3.保険料の仕組み
(1) 保険料の構成
損害保険の営業保険料は、一般的に純保険料と付加保険料で構成されていますが、積立損害保険の場合は、その他に積立保険料が加わります。
純保険料は、予定損害率を基礎として「収支相等の原則」に基づいて算出され、付加保険料は、一般管理費・営業費・損害調査費・代理店手数料等から算出されます。積立保険料は満期返戻金の原資となるものです。
(2) 参考純率と基準料率
損害保険料率算出機構は、損害保険会社から提供されたデータをもとに参考純率と基準料率を算出しています。参考純率は、自動車保険、火災保険、傷害保険などで算出し、損害保険会社に提供しています。基準利率は、自賠責保険と地震保険で算出し、損害保険会社はこれを利用しています。

つづいては、保険契約・損害賠償と法律知識についてです。
1.自動車損害賠償保障法
通称「自賠法」、自動車での人身事故による損害賠償責任について、一定額の履行を確保させるために、原付含むすべての自動車に自賠責保険への加入が義務付けられています。
民法での不法行為の立証責任は被害者側にありますが、自賠法では加害者側に無過失の立証責任が課されています。
2.失火の責任に関する法律(失火責任法)
失火責任法では、軽過失による失火の場合は、不法行為責任を負うことなく損害賠償責任を逃れると規定しています。そのため、他家の失火により自家が焼失した場合の保障がないので、自ら火災保険に加入しておくことが必要です。
3.製造物責任法
いわゆる「PL法」ですね。製造物から生じた事故によって消費者が受けた被害に対して、企業の責任を定めた法律です。これに対応する保険が製造物賠償責任保険(PL保険)です。(つづく)

※画像と本文は関係ありません。

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