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FP学習日誌(19) -生命保険設計その1

今日からは、「リスクマネジメントと生命保険設計」として、具体的なリスクに対する商品設計を学んでいきます。

家庭経済におけるリスクには、大きく分けると3つあるそうです。何だと思いますか?「」「病気やケガ」はすぐに出てくると思いますが、あとひとつ、それは「長生きに伴うリスク」です。
それぞれのリスクに対し、国や企業の保障があります。
国の保障としては、公的年金(遺族年金・障害年金・老齢年金)や公的医療保険(健康保険・後期高齢者医療制度)・公的介護保険などがあり、会社員等で業務上の場合はさらに労働者災害補償保険があります。また、企業の保障としては、死亡退職金・弔慰金や退職一時金・退職年金などがあります。
リスクの大きさに対して国や企業の保障では不足する場合、個人の自助努力が必要になるわけです。そこで生命保険の登場!となります。
しかし、わたしがよくみるのは、国や会社ですでに十分な補償があるにもかかわらず、自身でも過剰に保険契約をしている方がいることです。もっというと、自助努力の範囲でも、現在の貯蓄高や今後の収入予定額を考慮すれば本来は保険は不要、という方も多いと思います。しかしわたし自身も含め多くの方は、何か入っておかないと不安、と加入していることが多いのではないでしょうか。ここでは、そういった視点も踏まえて、各リスクに対する必要保障について考えていきたいと思います。

男女平等や多様性が重視される今日、不本意ではありますが(笑)、話を分かりやすくするために以下、大黒柱のお父さん、お母さん(専業主婦または少々収入あり)と子ども、という家族構成で進めます。子どもは大学まで進学し、適齢期で結婚するというシナリオです。

1.死亡に伴うリスク
(1) 必要保障額の算出方法
必要保障額=遺族の生涯生活費(総支出)-遺族の生涯収入(総収入)
となります。
【総支出】
末子独立までの遺族の生活費+末子独立後の妻の生活費+子どもの教育・結婚援助費用+葬儀費用や予備費
お父さんが亡くなったあと、子どもが大学を卒業するまでの家族の生活費は、テキストでは現在の7割程度、子どもが独立したあとお母さんが亡くなるまでは現在の5割程度と見積りされていました。
この期間は、以前にも紹介した「平均余命表」をもとに算出します。たとえば夫が亡くなったときに妻が35歳だったとすると、平均余命表では「52.86」となるので、およそ88歳まで生きるということになりますね。末子がたとえばそのとき5歳だったとすると、大学卒業22歳までが17年(お母さんは52歳)なので、その後36年間の保障を考えるということですね。
【総収入】
公的保障+企業保障+現在の貯蓄高と妻の収入見込
公的保障には、遺族年金や妻(お母さん)本人の年金があります。企業保障は、会社からの死亡退職金や弔慰金などで、自営業の方にはないものです。
当たり前のことですが、ざっくり「全部でいくらかかるのか」から「いくらもらえるのか」を差し引いて「必要保障額」が出てきます。そしてこの場合には、子どもは将来独立するものとする(つまり自分で稼ぐ)ので、基本的にはお母さんが亡くなるまでのシミュレーションをするということになります。
(2) 団体信用生命保険
ここでいきなり「団信」が出てきました。上記の総支出を計算する際に、持ち家か賃貸か、というのは最も大きなポイントといえるかもしれませんが、この団信というのは、住宅ローンを利用する際に加入する保険のことです。
住宅ローン利用者を被保険者、保険金受取人を銀行とするもので、簡単にいうと「死んだらローンがチャラになる」保険です。死亡だけではなく、高度障害でも残債務はゼロになりますし、近年は、三大疾病保障や介護保険特約付きの団信もあるそうです。
(3) 必要保障額算出上の注意点
注意点としては、やはり「住宅ローン」が挙げられます。団信に加入している場合は必要保障額に住宅ローンの残債務を加算する必要はありません。この点誤ると計算に大きな誤差が生じますね。
あと、遺族の収入見込、つまりお母さんの勤労収入を見込場合には、子どもがいるかどうかやその年齢などが大きな影響を受けるため注意が必要です。
そして必要保障額は、家族状況等により変化するため、定期的な見直しが必要です。しかし、「子どもが大学卒業してもこのままニートになりそう。。。」とかいう心配は、してもしてもキリないですね。プランニングには、ときには割り切りも必要でしょう。
(4) 保険設計
こうして必要保障額が計算出来たら、保険商品の選択となります。以前紹介した「保障に重点をおく保険」、「保障+貯蓄バランス型」、「投資性のある保険」の中から商品を選択していきます。
必要保障額は、通常末子誕生をピークに逓減していきますので、それも考慮して検討します。保障額が逓減していく保険は「逓減定期保険」というもので、この保険料を年金受取にしたものが収入(生活)保障保険「歳満了タイプ」です。
したがって、「一時性必要資金」を終身保険で準備し、「分割性必要資金」を逓減定期保険や「歳満了タイプ」で準備するのが合理的な選択肢のひとつでしょう。「歳満了タイプ」は保険料も安いそうです。
また、これも以前に紹介しましたが、「利率変動型積立終身保険(アカウント型保険)」で、ライフステージごとに保障内容を見直していくのもよいでしょう。

今日は以上です。次回は、他の2つ「長生きに伴うリスク」と「病気・ケガに伴うリスク」についてです。

※画像と本文は関係ありません。

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