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FP学習日誌(5) -そしていよいよファイナンシャル・プランニング

-ファイナンシャル・プランとは?
前々回のライフデザイン・ライフプランを経て、いよいよファイナンシャル・プランニングです。
ここでちょっと長くなりますが、日本FP協会*におけるファイナンシャル・プランニングの定義を記しておきます。
FPとは「個人のライフデザインとライフプランを実現するために、個人の収入・支出、資産・負債、保障・補償などのデータを集め、必要に応じて専門家の協力を得ながら現状分析を行い・・・パーソナルファイナンスに関するプランを個人と家族のライフプランに沿って立案・実行し、見直しをすること**」だそうです。つまりあくまで「パーソナルファイナンス」に関わる部分のみがFPの専門分野だということになります。
そして当たり前のことですが、FPはファイナンシャル・プランを作成して提案し、それを個人が実行に移すための支援はできますが、プランを最終的に決定するのもそれを実行するのもその個人だということになります。
*日本FP協会=特定非営利活動法人 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会
**出典:日本FP協会『FP総論』(2018年)5頁

-良いファイナンシャル・プランとは?
ふたたび企業との比較になりますが。。。基本的に企業の目的は「営利の追求」であり、その成功度合は、経済的指標において判断されます。
昨今、ESGやSDGsなどが重要であるといわれているのでこれには賛否あると思いますし、企業において従業員や顧客満足度を軽視してよいというわけではありません。しかし、やはり最重要は経済的指標であるといえるのではないでしょうか。
しかしながら、個人においては、経済的指標とともに、身体的・精神的なものに対する満足度やリスクマネジメントが非常に重要です。
「お金はあればあるだけいい!」と多くの人は思っているかもしれません。しかし、前にも述べた通り、たくさんお金を貯めるために過剰な身体的・精神的犠牲を払うことは賢い選択であるとはいえません。プラスもマイナスも「ちょうどいい」ところを見つけるのが、良いFPではないでしょうか。

-悪いファイナンシャル・プランとは?
良くないFPとは、生活上の目標が不明確なまま、漠然と「お金を増やしたい」「老後が不安」「保険を見直したい」というような相談をそのまま受けてしまうものだと考えます。
わたしもクライアントとの雑談のような会話からそういった相談を受けることもあります。しかしそういう会話の入口からであっても、やはりライフデザインやライフプランをしっかりお聞きして、ファイナンシャル・プランを作成することが必要でしょう。

-FPの6プロセス
それでは、プラン作成のプロセスですが、具体的には次の6つのステップで進めることになります。
①クライアントとの関係確立
②データ収集
③現状分析
④プランの検討・作成
⑤実行援助
⑥定期的見直し
まず。①関係確立は、言わずもがなですね。非常にプライベートな、そして「人生哲学」や「生き方」といった、他人に話すのはちょっと恥ずかしいかもしれないような内容をシェアいただくというのは、まず関係性が成り立っていないとできません。次に②データ収集、これには家族構成や年齢、収入といったような定量的情報と、性格や価値観、健康状態などの定性的情報があります。そしてこれらをもとに③で分析を行いますが、ここがまずひとつの山だと思います。もしかすると、この「分析」の時点で「いまのままで全然OK」となる可能性もあるでしょう。しかしおそらく多くの方は「このままやったらあかん!!」となって④のプラン作成となります。ここでの手法が、前記の「分析」と併せて、FPスキルのキモだと思いますが、これについては次項の「6分野」でも簡単にふれます。そして納得できるプランができたら、FPとしては⑤実行援助となります。これは前記の通り、プランを実行するのはあくまでクライアントさん本人であって、FPはサポートすることしかできませんが、適宜相談を受け、必要な助言等を行っていくことになります。そしてだれしも人生には、想定していなかったことが起こりますので、⑥定期的な見直しが必要となってきますね。

-FPの6分野
次に、FPとして重要な6つの専門分野です。
①ライフプランニング、リタイアメントプランニング
②リスクマネジメント
③タックスプランニング
④金融資産運用設計
⑤不動産運用設計
⑥相続・事業承継設計
これらの分野ごとの学習を、これからFP講座で行っていくことになります。また、これらを学び、業としていくうえで必要な関連法令等の知識としては、「金融商品取引法」「金融商品販売法」「消費者契約法」「特定商取引法」「保険業法」「個人情報保護法」「マイナンバー制度」「社会保険制度」、そしてわたしの専門分野である「税法」、特に「所得税法」「法人税法」「相続税法」などがあります。ちなみに、FPそのものを直接規制する法律は存在しませんが、テキストで何度も触れられていたことがらに「業際」があります。業際とは、弁護士や税理士などとの業務の境目のことで、弁護士資格を持たない人が有償で他人のために交渉を行うことや、無償であっても個別の税金に関する相談に乗ることは弁護士法、税理士法で禁じられています。FPであっても、弁護士資格や税理士資格を持っていない場合には、「行ってはいけない業務」があるのです。特に税理士との業際については注意が必要となります。

以上、「FP総論」カリキュラムはここまででした。次回からは、「リスクと保険」です。(つづく)

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