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FP学習日誌(12) -生命保険の制度としくみ その6「保険の見直し」

保障の見直し
現在加入している保険契約に、保険期間の途中で定期保険(特約)等を上乗せして死亡保障額を増やす制度があります。これを中途増額制度といいますが、増額部分の満期は元の契約と同一となり、その分の保険料は増額時の年齢および保険料率で計算します。告知または医師の審査が必要です。
保障内容を充実させる方法としては、この他、①追加契約、②特約の中途付加があります。

また、減額という見直しもあります。保険料の負担を軽くするため過大な死亡保障額を減らし、保険期間の途中で保険金額を減らす方法です。減額部分は解約したものとみなされ(一部解約)、解約返戻金がある場合は支払われます。

そして、契約転換制度では、現在加入している保険契約の責任準備金や積立配当金を利用して、同一の保険会社の新しい保険に加入することができます。既契約の転換価格(責任準備金や積立配当金などの合計額)を新契約の保険料の一部に充当する方法で、元の契約は消滅します。なお、長期継続契約における特別配当の権利は、新しい契約に引き継がれます。これは、保険の種類を変更したい場合や、保障額を増やしたい場合、期間を長くしたい場合などに利用されているようです。
注意点は、新規加入と同様に、告知や医師による診査が必要であること、保険料は転換時の年齢及び保険料率で計算されることです。
保険は通常、若いときに入る方が保険料も安くて条件も良いはずなので、この制度を利用する場合には、事前に十分そのメリットを検証することが必要でしょう。契約転換制度の前に、まずは、前記の中途増額制度や特約の中途付加・変更制度の活用や追加契約への加入などを検討してください。年齢の他にも、予定利率の高い時期に加入した保険を予定利率の低い時期に転換するのも、一般的に有効ではないといわれています。
なお、生命保険会社が契約転換の利用を進める場合には、転換前と転換後の内容比較について書面で説明することが義務付けられています。もし担当者から契約転換の営業を受けた場合には、安易にyesとは言わず、まずは書面を用いての説明を求めてくださいね。

減額などの見直しをしても、やっぱり保険料を払い続けるのは厳しい。。。または保障が重複していることが分かった、というような場合には解約することも必要かもしれません。
契約者は、いつでも保険契約を解除することができます。解約すると、保険種類や経過年数等に応じた解約返戻金や配当金が契約者に支払われ、保険契約は消滅します。なお、契約後早期に解約すると解約返戻金から一定額が差し引かれることがありますが、これを解約控除といいます。
保険料の払込方法にもよりますが、契約から解約までの期間が短い場合などには、解約返戻金はないか、またはあってもごくわずかです。保険の見直し等により、現在加入している保険契約を解除して新契約を締結する場合は、健康状態によっては新規契約に加入できないこともあるので注意が必要です。また、解約から新契約の保障開始までに無保険状態となることを避けるためにも、解約するときには新契約の成立を先行させることも必要かもしれません。

次に、保険金支払と保険料払込免除について記します。
まず保険金(または給付金)は、それぞれの支払事由が生じたときに支払われます。保険金等は、必要書類が保険会社に到着した日の翌日から原則5営業日以内に支払われます。そんなに早いなんてまったく知りませんでした!でも保険金をもらうのは困っているときのはずなので、素早い対応は助かりますね。
(1) 死亡保険金
被保険者が保険期間中に死亡したときに、死亡保険金受取人に支払われます。ただし、責任開始から一定期間内(1-3年)の自殺、契約者や受取人の故意によるときは支払われません。「自殺だと保険金は出ない」と思っている方もいるかもしれませんが、一定期間が過ぎれば自殺でも支払がされます。
(2) 高度障害保険金
被保険者が、責任開始日以後に生じた傷害または疾病が原因で、所定の高度障害状態(両眼の視力や言語の機能を全く永久に失った場合など)になったとき、死亡保険金と同額の高度障害保険金が被保険者に支払われます。高度障害保険金が支払われると契約は消滅します。
(3) 災害死亡保険金
被保険者が、不慮の事故で180日以内に死亡したとき、または約款所定の感染症により死亡したとき、主契約に上乗せして、死亡保険金受取人に支払われます。
(4) 満期保険金
被保険者が保険期間の満了時に生存していたときに、満期保険金受取人に支払われます。

しかし、保険金が支払われない場合というのもあります。次にあげる免責事由や契約解除等の事由に該当した場合などです。
(1) 免責事由に該当した場合
被保険者の死亡や事故の原因が、天災や戦争など保険料の計算基礎に甚だしい影響を及ぼす場合や、故意などによるものである場合は、保険金や給付金が支払われないことがあり、これを免責といいます。
(2) 契約解除または無効等の事由に該当した場合
重大事由*による契約解除、詐欺や不正取得目的による無効、または告知義務違反による契約解除、契約失効の場合などにも、当然ながら保険金は支払われません。
* 重大事由とは、契約者等が保険金を詐取する目的で事故を起こすなどの場合をいいます。
(3) 時効による場合
保険金の支払事由が生じた翌日から3年を過ぎて請求がされないときは、保険金請求権が消滅します。
(4) 保険契約の消滅
免責事由、契約解除や無効等に該当すると、保険契約は消滅します。その場合、解約返戻金があれば原則として支払われます。

そして、今日の最後「保険料払込免除」についてですが、これは、不慮の事故で一眼の視力や両耳の聴力を全く永久に失った場合など、約款に定められた所定の身体障害状態になったとき、以後の保険料払込が免除されることです。一般的な保険には付帯されていて、また、別途、特定疾病等に該当したときに保険料払込免除となる特約を、保険料を負担することで付帯できる場合もあります。(つづく)


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