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FP学習日誌(24) -損害保険の制度と仕組み その2「火災保険・地震保険等」

つづいて保険の種類と主な商品です。
基本となる保険種類の分類は次の通りです。
1.基本となる4つの分類
損害保険は、保障の対象となる損害によって次の4つに分類することができます。
物保険・・・火災保険、自動車保険(車両)、動産総合保険等
人保険・・・傷害保険、自動車保険(自損事故保険等)、労災総合保険等
賠償責任保険・・・個人賠償責任保険、自動車保険(対人賠償等)等
・その他・・・火災利益保険、ゴルファー保険(記念品費用)等
また、これらを組み合わせた商品も多数あります。

2.火災保険
火災保険では、「火災、落雷、破裂・爆発、風災・ひょう災・雪災、消防活動により生じた損害等のほか一定の災害による損失」に対する「損害保険金」と「それに伴い発生した費用」に対する「費用保険金」が支払われます。ただし、契約者の重大な過失による失火、シロアリの食害や経年劣化による損害、自動車が被った損害などは補償されません。
建物と家財は別々に契約することができるため、「建物のみ」「家財のみ」「建物と家財」を選択できます。
近年は、商品性を簡素化し、ニーズに応じて填補する損害の組み合わせを任意で選べる火災保険が販売されています。商品性は多様ですが、保険金額を再調達価額等の評価額で契約する点でおおむね共通しています。また、火災保険では、建物の種類や耐火性能によって構造級別を3つ(M構造、T構造、H構造)に区分しています。保険料率はM構造が最も低く、H構造が最も高くなっています。
また、2015年10月以降に契約する火災保険の保険期間は最長10年*で、長期になるほど保険料が割引となります。なお、次の「従来型商品」は、現在新規での取扱いはしていません。
<従来型商品>
住宅火災保険、住宅総合保険、普通火災保険(一般物件用)、店舗総合保険、団地保険、価額協定保険特約
* 2021年3月には、昨今の自然災害の増加による保険会社の収支悪化により、2022年度から保険期間を5年に短縮することが検討されているという報道がありました。

<地震保険>
火災保険では、地震・噴火・津波を原因とする火災損害は免責となっていて補償されません(火災保険からは、地震火災費用保険金として保険金額の5%が支払われるのみです)。そのため、地震等による損害に備えるには地震保険にも加入する必要があります。
(1) 保険の対象と契約方法
地震保険の対象となるのは、居住用建物(専門住宅および併用住宅)および家財です。地震保険単独での契約はできず、必ず住まいの火災保険(住宅火災保険・住宅総合保険等)に付帯して契約します。
(2) 補償内容
地震保険で担保される損害は、地震・噴火・津波を原因として建物や家財が火災・損壊・埋没または流失となった場合です。ただし、家財の範囲に自動車、通貨、有価証券、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属、宝石など(火災保険における明記物件)は含まれず、地震保険の補償対象とはなりません。なお、地震等が発生した日の翌日から10日を経過後に生じた損害は、地震保険の対象となりません。
(3) 保険金額の範囲
地震保険の保険金額は、主契約(住宅火災保険・住宅総合保険等)の保険金額の30~50%の範囲内で別個に定めます。ただし、建物は5千万円、家財は1千万円が限度です。
(4) 保険料
地震保険の保険料は、建物の構造と所在地により異なります。建物の構造は、一定の耐震性・耐火性が認められた「イ構造」とそれ以外の「ロ構造」に区分され、所在地は都道府県別の危険度に応じて区分されています。
各損害保険会社では、損害保険料率算出機構が算出して金融庁長官に届出を行った保険料率(基準料率)を使用しており、なんと、同じ保障内容であればどの損害保険会社で加入しても知人保険の保険料は同じなのだそうです。知りませんでした!
また、地震保険には、建物の耐震性能に応じた次の4種類の保険料割引制度があり、いずれか1つを適用できます(重複適用不可)。
・建築年割引・・・1981/6/1以降に新築された建物<10%>
・耐震等級割引・・・等級1~3に応じて<10~50%>
・免震建築物割引・・・一定の免震建築物である場合<50%>
・耐震診断割引・・・建築基準法における基準を満たす場合<10%>
(5) 保険金の支払
地震保険は、損害額をもとに保険金を支払うのではなく、2017/1/1以後の契約からは、損害を4区分に分類し、保険金額に各々一定の率を乗じたものを保険金としています。建物・家財とも全損の場合は保険金額の全額、大半損の場合は60%、小半損の場合は30%、一部損の場合は5%が支払われます。
(6) 総支払限度額
1回の地震等による総支払限度額は11.7兆円と定められており、支払保険金総額がこれを超える場合、その割合に応じて保険金が削減されることがあります。(つづく)

※画像と本文は関係ありません。

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