マガジンのカバー画像

「学習する組織」のメモ

16
運営しているクリエイター

記事一覧

【雑文】ワークショップとかプラクティスとか

学習する組織の基本の「き」というワークショップを毎月1回やっている。3つの内容を月替わりで紹介して、3か月で一巡するんだけれど、同じ内容を繰り返し聞いて、同じ演習を繰り返しやってくれる人がいてうれしい。この「繰り返し」の大切さについてつらつら書いてみよう。 「学習する組織」で紹介される基本的なツール(演習やモデルを合わせてツールと呼ぶ)の本当にすてきなところは、ツールをただ頭で知っていることではなく、それを用いながら手と頭と心を動かしてプラクティスすることで価値が生まれる点

根本原因という言葉にまつわる幻想

複雑な課題をものごとのつながりからとらえて考えるシステム思考。はじめて経験する人たちには、「問題のすり替わり」というシステム原型を使って演習をやってもらうことが多いのです。 原型については、チェンジ・エージェント社のこれ参照 つまりは、今困っていること(問題症状)に対して、応急処置と根本解決策があるときに、すぐに効果が出る応急処置ばかりを繰り返してしまうことで、長期的には問題症状を悪化させてしまうとき、その背景にどんなシステムがあるのか、対話を通じて洞察する練習です。

『学習する組織』の解説note、始めます。

コラボで、「学習する組織」について解説するnoteを始めました。私が、どうにも書く時間を取ることができずに、2年間くらいずうっとくらい悩んでいたら、「自分でできないことは、人にやってもらったらいいんだよ」と、救いの声が降りてきました。 そして、記念の第1号記事がこちら。 さてさて、愉快なことに。誰かにこうやってアウトプットしてもらうと、さらに何か思考が動き始めるのが人間です(過度の一般化)。ちょっと補足で書いてみます。 まず、このノートに書いてある前半「学習」のポイント

「学習」とは?|『学習する組織』をわかりやすく解説

「学習」という言葉を聞くと、どのようなイメージを持ちますか。暗記することや正解を探すこと、先生の話を聞くことを想像する方は多いのではないでしょうか。 実は『学習する組織』では、これらのイメージとは大きく違う捉え方をしています。「学習」とは、一体どのような意味なのでしょうか。 この記事では、私たちが「学習」する場面を例に挙げながら、『学習する組織』の著者であるピーター・センゲ氏が説明する「学習」の意味をご紹介していきます。 学習は、私たちの望みから起こる2本の足で立って歩

Generative Social Field(生成的なソーシャルフィールド)

2020年6月2-5日のCompassionate Systems Workshop(オンライン開催)での一節をメモしておく。「生成的なソーシャル・フィールド」というのは、はじめはピンとこない言葉だが、システム(相互依存性)について理解するにはとても大切な概念だと思う。 ==================================== 「あなたがどんな風にこの場に現れるか(Show upするか)」は、みんなに影響を与える。そうやって、みんなが作る空間のことを So

オンラインでのCompassionate Systems Workshop with Peter & Mette

初のオンライン開催となったCompassionate Systems Workshop、4日間x4.5時間のバーチャル・セッションが終了。アジア向け時間設定の効果もあって、参加者はいつもより国籍で言えば少なめの10ヵ国。しかし、日本から私を入れて12人というのは史上初。香港やデンマークと並んでのマジョリティーというのもこれまでには考えられなかったこと。 なかでも若手教育者の数名がとても積極的に発言してくれて、いろいろな参加者にとってのフェアネスや安全性を創り出してくれた

「学習する組織」のきほんの「き」 内省的な会話②

先のエントリーで紹介しようとしたことを、掻い摘みながらまとめてみれば、こんな内容だ(といいつつアタマの整理)。  ・ 変化に真剣に取り組むなら内省(リフレクション)から始めよう  ・ 私たちの思考などの習慣(メンタルモデル)は見えにくいが  ・ その見えにくい習慣が不都合を起こしていることがある  ・ そこで内省がないと、変化への取り組みの入口を間違える 実際、私たちのまわりを見渡せば、組織の変革や、医療、教育、行政の改革の話は本当にあふれていて、「〇〇には変化が必要だ!

「学習する組織」のきほんの「き」 内省的な会話①

4月22日(水)にZoomを使ったワークショップを開催。学習する組織の三本柱のうち「内省的な会話(Reflective Conversation)」を取り上げた。 この「内省的な会話」について、ピーター・センゲから聞いたいろいろな話を共有したので、まとめておくことにする。 〇 内省(リフレクション)から始める英語のリフレクションには、鏡の反射、反射像という意味がある。センゲは、この「鏡を自分に向ける動作」こそ、リフレクションを表すジェスチャーであり、そして、組織や社会、何

「学習する組織」のきほんの「ほ」(オンライン&短縮版②)200326

先日のエントリーの続き。前回のをとても短くまとめるなら、こういう感じだ ↓ 意識は、私たちの貴重なリソースであり、私たちのエネルギーは、意識のあとを付いていく。だから、「嫌なものを避ける」より「何を創り出したいか」に意識を向けることが大切だ。 しかし、自分が欲しいもの(ビジョン)だけを「欲しい、欲しい」と言い続けていても何も変わらない。ビジョンを明確にするのと同じくらい大切なのは、今の現実をありのままに見ることだ。この対比についてもう少し紹介する。 〇 創造的緊張はすべ

「ナレッジ」についての雑文 200405

(・・・長くなったうえにまとまらないんだけど) ナレッジ・マネジメントへのアレルギー反応ナレッジという言葉は、一般に知識と訳される。Wisdomが知恵だったり、知・知性がIntelligenceだったり、このあたりは私たちが分かっているようで実は分かっていない言葉だと思う。そんな「ナレッジ」についてメモ。 昨年2月、ピーター・センゲが世銀で講演。世銀の「ナレッジ・バンク」というコンセプトについて、こんなふうに切り出している。(なお、このエントリーでは「ナレッジ」=「知識」

「学習する組織」のきほんの「ほ」(オンライン&短縮版①)200326

少人数のワークショップなので、換気を徹底しつつオフラインでの実施を目指していたのだが、前日にオリンピックが延期、東京では知事が緊急声明を出すなど、にわかにざわざわする状況になったため、オンラインで実施することとなった(直前の変更を一緒に考えてくれたかず&ふみさんにありがとう。対応してくれた参加者のみなさまにも多謝です)。 ↑ おなじみの人にはおなじみのやつ 創造的志向性と内省的対話の2つの軸についてワークを踏まえてシェアするつもりだったが、Zoomで2時間という構成を考え

SoLジャパン x ロバート・フリッツ特別ワークショップについての超主観的まとめ!

SoLジャパン事務局の福谷アキです。10月2日のイベントの運営委員です。 私、ボストンのSoLノース・アメリカ(当時はただSoLって呼ばれていました)で働いていたことがあって、当時ピーター・センゲや周りの人たちから、フリッツについていろいろ聞いてきました。その個人的な体験、私見と主観と独断に基づき、「なぜ、今回のフリッツ初来日の特別ワークショップに参加すべきか?」を解説したいと思います。 1. 「学習する組織」のコア・コンセプトの1つ「創造的思考性」を創った「大御所」!

20200217 5歳児のシステム思考

5歳児のシステム思考@昭和女子大学附属こども園。 この子たち、まだカタカナはあまり読めないんだけど、システムの話は関心持って聞いてくれたりする。気が散る時もしばしばあるけれど愛嬌ありすぎて良い。 今日のお話。 からだにばい菌が増えると、熱が上がる。 熱が上がると、ばい菌は死んで減る(B1) もしも熱が上がらないと、ばい菌はずっと減らないかもしれない。 少し遅れて、熱が上がると汗が増える。 汗が増えると、からだが冷えて熱は下がる(B2) もしも汗が出ないと、熱はずっと上

200205 システム思考のひとつの語り方

「あなたはどうして今ここにいるのでしょうか?」って問いかけから、教員、先生のたまご、高校生の参加する場でシステム思考について話してみた。(どんな反応があるかとてもドキドキした) 一人ひとりがここにいる理由は、教員としての仕事だから、システム思考について知りたいから、あの先生の話が好きだから、など、いろいろとあると思うんだけど、こういうとき、「1つの理由」を探そうとするのが僕らの思考の癖だ。 「1つの原因から、1つの結果が生まれる」というのは、人為的に作られた実験室や紙の上