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3/28(火)社説

 岸田首相とショルツ首相が初めての政府間協議を東京で開いた。日本とドイツは、ウクライナ危機や米中対立などの国際情勢に対応するため、経済や安全保障分野での協力レベルを引き上げる。ショルツ氏は昨年4月、首相就任後初となるアジア訪問先として日本を選んだ。6名の閣僚や経済界代表を同行させたことは関係強化への意欲の表れであろう。
 米中は、半導体やレアアースなど戦略物資の流通を武器化し、対立を激化させている。世界経済の分断への懸念が広がっている。日独協議の議題は、中国を念頭に置いた経済安全保障である。日独ともにエネルギーの輸入依存度が高く、産業立国という共通点がある。両国にとっての最大の貿易相手国は中国だが、現在依存することへの警戒心が強まっている。ドイツは、レアアースの備蓄を進める日本のノウハウに関心がある。
 日独はG7の一員として、自由や民主主義という基本的な価値観を共有している。互いに競争相手ではあるが、協力できる分野は多いとみられる。米中間でリスクを最小化するための連携を強化する意義は大きいだろう。

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