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3/20(月)社説

 岸田首相が子育て支援と少子化対策について記者会見した。柱として掲げたのは、若い世代の所得増、社会全体の構造・意識改革、全ての子育て世帯への切れ目のない支援の3つである。
 まず、若者の所得を増やすため、一定の年収を超えたら社会保険料などの負担が増す「年収の壁」を取り除くという。しかし、これだけでは若い世代の不安に応えているとは言えない。なぜなら少子化の背景には、非正規労働者の不安定な雇用の問題があるからだ。
 男性の育児休業取得については、女性に比べ極端に低い現状がある。取得促進のため、育休中の手取りが一定期間10割になるよう給付率を上げる。ただ、企業任せにならないような仕組みが必要である。また、自営業者などは育休制度の対象となっていないため、これらの人向けに新たな措置を導入するかは不透明である。このほか高等教育費の負担軽減、子育て世帯への住宅支援などを列挙したが、いずれも財源の裏付けを欠いている。
 少子化に歯止めをかけるために残された時間は少ない。政府は安心して子供を産み育てられる社会を実現するため、大胆な政策を実行する責任がある。

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