見出し画像

先生、誘発入院ってすぐに産まれるんじゃないんすか!?【出産レポ:その2】

 41週0日で誘発入院した私の出産レポ。まさか、2本に分けるつもりは微塵もなかったのですが、明らかな長期戦となってしまったので第二弾。


〜前回まで〜
気合十分で臨んだ誘発入院。1日2日くらいで産めると思っていたものの、陣痛促進剤が効かず、まさかの4日目を迎える。一向に進まない陣痛、窓のない陣痛室での軟禁生活に、精神崩壊寸前まで追い込まれる。


・5日目 一旦休憩

5:00 枕が岩のようだ。起きる。昨日買ってきてもらったナンプレを薄暗い中でやる。寝れないし、気づくと涙が出てきて疲れるから、数字見てる。
6:30 ついに、5日目の朝である。外の空気が吸いたい。
7:20 NST。くるの遅かったからいよいよ病院内で存在を忘れられたかと思いましたよ。
8:15 朝食。今日も談話室で食べさせてもらえた。よかった。遠くが見えるだけで救われる。ありがとう松本平。
9:00診察。子宮口は5センチ。子供は元気、羊水量も充分。先生とも相談して、今日は一旦お休みする。
10:00 部屋を一般の病室に移してもらえた。窓のあるお部屋、個室だから叫び声も赤ちゃんの声もしない。少しだけ窓を開けて、風が吹いてきた。嬉しくて嬉しくて、涙が止まらなかった。

画像1

↑このちょっとの隙間から風を取り込む。


11:00 荷物整理して、持ってきた寝巻きに着替えて、点滴のチューブも外してもらって。本当に気持ちが晴れる。ありがたすぎる。note書いたりyoutube見たりして過ごす。陣痛室では30分に一回くらい人が入ってくるので、好きに過ごせなかったけどここならノックもしてもらえるし、何見ててもしてても自由。
12:00 昼食。今日はうどんだった。外が見えるだけでものすごくご飯が美味しい。今までの人生で食べたきつねうどんの中で1番美味しい。
13:00 NST。赤ちゃんとても元気。張りはない。足首温めるといいと言われたので、靴下履いておく。
17:00 本日夜勤の看護師さん登場。赤ちゃんがおかあさんに休む時間くれたんだね、といってくれた。そうかもしれない。妊娠生活も順調でつわりとかも少なかったから、かなり普通に過ごしてきたけど、それなりに辛いこともあったし、お産だって怖くないわけじゃない。そういう気持ち抑えて今日まで来ちゃったから、まぁちょっと休めよってことなのかもしれない。優しい子。シャワー浴びる。
18:00 夕食。
19:00 夜のNST。明日以降どうしていきたいか?聞かれる。正直、陣痛室にあと数日戻るのは耐えられない。自然に待って、それで帝王切開になるなら、もうそれでもいいと思う、と伝えた。「どんな産まれかただって、十月十日お腹の中で赤ちゃん育ててきたのはすごいこと。お母さんの好きなようにしたらいい。医学的なことは毎日ちゃんと見てるから大丈夫。今はゆっくり赤ちゃんとの時間を過ごしてください。」と言ってくれた。また号泣。
20:00 旦那さんに電話して、赤ちゃんにも声かけてもらって今日は寝る。携帯も見ないで、赤ちゃんとお話しながら眠る。

・6日目 赤ちゃんとの対話

7:00 窓から日が入って、自然と目が覚める。こんなにゆっくり眠れたのは久しぶりだ。相変わらず枕は硬いが、マットレスが柔らかい分それほど辛くない。朝のNST。今日も赤ちゃんは元気。陣痛室にいた時は、測定から逃げ回るように動いていたけど、今は動いてても機械からずれることはない。やっぱ嫌だったんだなぁ。一度だけ大きな張りがあった。自然に大きな張りが出たの久しぶりな気がする。
9:00 診察。子宮口の状況も昨日と変わりはない。どうしたいか、聞いてくれたので、今日もお休みすることにした。のんびりでいいよ〜少しずつ練習してみよ〜。診察から戻り、ラジオ体操。
12:00 午前中は、マッサージしたり、踊ったりしながら過ごした。病棟内歩いてもいいよと言われたけど、ただ歩くだけじゃつまらないから部屋の中でステップ踏んだりしてた。ダンスも早く再開したいな。昼食。餃子。
13:00 NST。たまに張る。張ってる時間は短いけどちょっと痛い。この調子で強くなればいいけど。
15:00 赤ちゃんとよくお話する。はたから見れば完全に独り言だけど、割と会話できてる感じがある。前から「自分のタイミングでいいよ」って話していたし、生まれてからも赤ちゃんの意思や考え方を尊重しながら親子一緒に育っていこうねって話していたのに…いざ出産ってなったら「早く出てきてね」とか、促進剤で無理やりお部屋狭くしたりとかして、そりゃ「話違うじゃん!」ってなっちゃうよね。どうせ入院して逐一様子は見てもらってるし、いよいよお医者さんの目から見て「出さないと危険!」ってなるまではこのまま待ってみようという話をした。
16:00 今日はバスタブのあるお風呂に入れた。久しぶりのあったかいお風呂でとても幸せだった〜。
18:00 夕食。
19:00 月を見に廊下へ。明後日は希少な中秋の名月且つ満月になるらしい。もしかして、それ狙ってる??NST。明日のこと聞かれる。休もうかと思うと話したけど、若い看護士にいよいよ42週も近いので何もせずに待つというのもリスクはある…と脅される。どうしよう。
20:00  旦那さんに電話。もう一度二人で頑張ってみた方がいずれにしても後悔しないんじゃない?って言ってくれた。本当に私のことよくわかってくれてる。最初とは違くて、今度はちゃんと赤ちゃんにも説明して、一緒に頑張ってみるのもいいかもしれないと思った。2日間たくさん休んだし、赤ちゃんとお話しして少し気持ちわかった気がする。うまくいかなくてもいいから、二人で一緒にチャレンジしてみよう、って赤ちゃんに声かけた。明日うまくいかなくても、まだやり方はあるから、今度は一緒に頑張ってみよう。
21:00 おやすみ、赤ちゃん。
23:30 暑さと腹痛で目が覚める。とにかく汗がすごい。室内の冷房は結構しっかりかかっているので、ハンディ扇風機でしのぐ。
24:30 また目覚める。すごく痛いのは短いけど、なんとなくずっと痛い。もしここからひどくなったらナースコールしよう。
2:30 赤ちゃん頑張ってるんだね。痛みの強さ頻度はあまり変わらない。暑かったのもあり、ごく軽い頭痛。冷えピタ張って、赤ちゃんの胎動確認してねる。

・7日目 ついに破水!

画像2


5:30 起床。カーテン開ける。朝焼けがとても綺麗。夜はよく頑張ったね、って褒めてあげた。今日も引き続き頑張ってみようね!
7:00 NST。8-9分間隔くらいで定期的に張る&痛み出てきた!看護師さんも少し陣痛きてるかもね、て。赤ちゃんいい感じだよ!頑張ろう!
8:00 朝食。納豆だ!納豆だ!
9:00 これから診察。なんか緊張する。怖いとかじゃなくて、ショーや大舞台の前みたいな不安と楽しみが混じってちょい楽しみが大きい、みたいなドキドキ。
10:00 診察。今日は金曜日にお休みすること提案してくれた大先生的な人。診察時に少し破水。急を要するものではないらしい。今日まで連休なので人が手薄、今までの薬の効きづらさ、安全面を考えると明日から誘発再開で良いのでは?ということ。破水はしちゃったので普通はまた牢屋入りらしいのだけど、1時間ごとに経過を見てれば部屋も移動しなくていいって言ってくれた。ありがたい。破水してるので自然に陣痛着く可能性もあるって。つぶちゃんよかったね。今日もゆっくり頑張ろう!
 昨日脅してきた看護師の愚痴言ってやろうかと思ったけど、やめておいた。
10:30 破水しちゃったのでということでNST。けさは8-9分間隔だった張りが、5分台に。痛みはまだそこまでじゃないかな。赤ちゃんは元気そう。少し血圧が高い。
12:00昼食。
13:00 ラジオ体操したり、体動かしたり。少し羊水出るのわかった。
15:00 NST。赤ちゃん元気。血圧戻った、張りは痛いけどやや波あり。
17:00 NST。1週間NSTをつけててわかってきたんだけど、陣痛ってある程度自分のタイミングで起こせる、と。加えて、本陣痛はもちろん痛いんだろうけど、と同時にものすごい気持ちいいんじゃないか?ということ。だからみんな死ぬほど痛かったとか言いながら、2人目や3人目を産むことができるんじゃないかな?まぁまだやってないから知らんけど。とか考えながらシャワー浴びる。
18:00 夕食。19:00NST。いよいよ明日的な空気が出ているが、これまでのこともあるので過度に期待はせずリラックスして過ごす。
21:00 抗生剤点滴して、今日は寝る。妊娠中から今までを振り返る。いろいろな経験をして、楽しい十月十日だったな。まだ産まれてもいないくせに、たくさんの幸せを私たちにくれた赤ちゃん。出てきたら、一緒にもっと楽しく過ごそうね。夜の間は1時間毎ぐらいに心音確認してたような気がする。不定期だけど短い間隔で張りもあり、生理痛のような痛さが夜中中続いた。赤ちゃんは元気で羊水が出てる様子もあんまりない。

・8日目 そして、ついに…。


5:30 心音の確認。カーテン開けて朝焼け眺める。夜中よりは少し痛み落ち着いてるかな?
6:30 NST。シャワーへ。髪乾かしたり、外の空気吸ってゆっくり。
8:00 再びの牢獄。でも今回は無期懲役ではない!赤ちゃんと頑張るために来たんだ!気持ちが全然違うのだ!
9:30 診察。昨日少し破水もしたし、子宮口の開きも問題ないし、自然な張りや痛みも定期的に出ているし、促進剤で背中押してあげてうまく進むといいな、って感じ。42週だけど焦るような状況じゃないって。抗生剤投与。
11:00 促進剤開始。まだ動けるうちに、運動する。
11:30 20ml。痛くなってきた。uに合わせて腰動かすとやっぱり心拍が上がる。楽しいみたい。
12:00 40ml。昼食。痛い。張ってる時は手が動かない。張ってない時もまぁまあ痛い。
12:45 喰った。しんどい。そういえばこれどうなると次に行くんだっけ?
13:30 腰あっためてもらう。ちょい眠いから一旦寝る。

〜ここからは出産後に記載〜
14:00 痛み激しくなる。この辺記憶がもやもや。
トイレに行くものの何も出ず、突然呼吸の仕方がわからなくなり全身が痙攣してナースコール連打。ナースコール固かった。
16:00 明らかに痛みの種類が異なってくる。赤ちゃんが下に降りてきているのがわかり、一緒に頑張った。波が引く時は30秒毎くらいかな?痛い時はもうひたすら巨大うんこ出そうで出ない感じ。でもちゃんと周期があるし、赤ちゃんが頑張っている証拠だから、これは正直そんなに辛くない。
17:00 分娩室へ移動。これまで陣痛室で7人のお産を聞いていて、みなさん大体分娩室に移って1-2時間で産まれているので、いよいよだ。このころかなり冷静。言われた通りの呼吸して頑張る。大先生に湯浅さん余裕かな?と言われる。余裕ではないのだが、これも他の人のお産を聞いていて、痛い痛いと叫び散らしている人は基本的に時間かかっているイメージだったから自分は冷静にと意識していたのもある。18:00を過ぎた頃、もう頭1/3くらい出てるよって。確かに何か挟まってる感ある。そこで気づいたのだが、膣が開くのはイメージできるけど、いや、骨はこれ以上開くの?まじで?ということ。てゆうか1/3挟まってて赤ちゃんは苦しくないのか?で、こっから出てこない。そういえばいつかの検診で頭大きいと言われたの思い出す。この頃になると、今まで担当してくれた助産師さんやら看護師さんが集まってきた。小児科の担当の人も来て赤ちゃん出てくるの待っている。足元でバタバタと赤ちゃんが出た時に使用するであろうセットが用意される。私の足にも汚れないようにカバーがかけられる。これはもうほんとあとちょっとなんだ!がんばれ赤ちゃん、日勤の担当の方も残業してくれとるぞ!でも、出ない。噂に聞いていた会陰切開おこなう。その時はちょっとチクッとするだけだったけど、これ多分後日痛いやつだ。切ったら流石に出るかとおもったがそういうこともなく。ここで端で座って見ていた大先生がおもむろに立ち上がり、お腹を押すという。これはゴッドハンドの予感。苦しい。押されながらいきむ。

出た。

 正直言うとここまで結構鮮明なのに出た瞬間のことがあんまりよくわからない。ただ、本当に出た瞬間から痛みや苦しさがなくなるんだなっておもった。臍の緒が切れ、顔を見せてもらう。紫だ。すぐに元気よく泣いた。横に置いてもらう。出てきた瞬間自分が泣いてしまうんじゃないかと思ったけど、とても初めて会った気がしなくて、「ありがとう頑張ったね」と笑顔で声かけた。
誕生時間、2021年9月21日18:37、3436gの元気な男の子でした。

ーーーーーーーーーーー

 長々お付き合いいただきありがとうございました。いやーながかったwでもこの1週間を通じて、より赤ちゃんや旦那さんとの絆を深められた気がして、とても大切な時間でした。

 最後にちょっとアドバイス。

 これからお産を迎える方、お医者さんや看護師さん助産師さんに甘えまくってください。これくらい我慢しなきゃかなとか考えなくて良い。1ミリでも不快だったり辛かったら伝えた方がいい。細かいけど陣痛室に食器洗剤がなかったのとか、いえば多分すぐに出してくれたし、朝ごはんは外で食べたいとかも言えば初日からできたんじゃないかと思います。他人に甘えることは妊娠中も、多分産んだ後もとても大切。私の場合、つわりもないお気楽妊婦だったおかげで、うまく他人に甘えられないまま入院の時を迎えてしまいました。これからの子育てもたくさんひとに甘えていきたいと思います。

 妊婦さんの旦那さん。妊娠出産での旦那さんの約割はとても大きいです。産むのは嫁だし…出来る限りの応援はするけど…と思うかもしれませんが、全然そんなことないです。妊娠出産は細かい選択の連続です。目の前に出されたコーヒーを飲んでも良いのかなんてものから、どこの病院がいいのかとか、帝王切開か経膣分娩か?などなど。そんなのわからないよ、お医者さんや専門家に聞くしかないじゃん、と思うかもしれないです。でも覚えておいて欲しいのは、お医者さんは医療のプロではありますが、あなたの奥さんについてはずぶの素人なんです。医学的な情報はもちろんたくさんくれますが、最終的に判断するのは妊婦さん自身です。でも、当事者である妊婦さんは、いざあなたはどうしたいか?と問われてもどうして良いかわからなかったりします。そんなとき、嫁を知り尽くした旦那さんが、情報を整理して奥様が1番納得いく形を提案する。これは旦那さんにしかできない仕事です。私も促進剤を一度お休みした後、正直もう辛くて帝王切開にしてもいいんじゃないかと考えました。お医者さんもそれでも構わないと言ってくれていましたし。でも、その時旦那さんから「性格的にもう一度だけでもチャレンジしないといずれにしても後悔するんじゃないか?」と言われました。負けず嫌いな私の性格をよくわかってくれた提案でした。確かに出産というゴールを決めるのは奥様と赤ちゃんかもしれない。でも、そこにはピッチの状況を逐一読み、前線のプレイヤーの強み弱みを理解して、的確な指示を出す司令塔が必要なんです。それができるのは旦那さんしかいないのです。頑張れ世界中の旦那諸君!

 本当に長くなりましたが、皆様のおかげで無事第一子を産むことができました。感謝しかないし、これからも甘えさせてください。妊娠出産は十人十色ですが、この記事が1人でも似た境遇の誰かの支えになれればと思います。

湯浅 亜木

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?