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【店舗調査記録】IKEA 原宿

 「都市小型店」って最近個人的にアガるワードです。WITH HARAJUKUの格テナントの一つが、まさに「都市小型店」のIKEA原宿。2フロアで2500平米、ということは単純計算でも1フロア1250平米、、、、待て、400坪以下か⁉︎っと無意味な計算をして(どうも坪換算しないとイメージがつきにくく…)、期待感を高めていました。『郊外大型』を基本パッケージとするIKEAが、どのようにそのブランドイメージを『都心小型』に落とし込むのか、そこからこれからの売場づくりのヒントが見えるとか見えないとか。

■シームレスな売場づくり

 「壁がないっ!」そう、IKEA原宿店には店内に壁がないのです。構造柱と厨房壁を除いては店内を区切るものが何もないのです。話題のスウェーデンコンビ二も、飲食ゾーンですらも、完全な壁は一つもないのです!(一つぐらいあったかも、見落としていたらスミマセン…)さらに、物理的な壁だけでなく、ゾーニングという点においても一切の隔たりがないのです。

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 ↑こちら、店内フロアマップです。いや、マップじゃない文字だ。「眠る」「料理する」あたりはまだいいんです。なんだ「くつろぐ」って、もはや心の持ちようではないか。IKEAといえば、シーン提案型のディスプレイスペース。ファミリーのおうちも、一人暮らしのおうちも、シンプルでミニマルな書斎からポップで遊び心ある子供部屋まで、実際に部屋を再現することで魅せる商品提案は店内を散策するだけでも夢広がります。一方で、多様な生活空間を再現するために広大な売場面積を必要とするのがIKEAの売場づくり…だと思っていたのですが。なるほど、部屋ではなく生活のシーンを切り出すことで、省スペースの中でもライフスタイルに合わせた商品提案ができるということなんですね。

■食品は台所用品?

 シームレスな売場の中で、特に印象的だったのはが”食品”の取り扱い。IKEA原宿店にも調味料や冷凍食品、菓子類など様々な食品の取り扱いがあります。ただし、前述のゾーンカテゴリーでは”食品”というカテゴリーは存在していません。じゃぁ一体どこに食品はあるのか??下記の写真ご覧ください。

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↑フライパン・フライパン・ケチャップ!・マスタード!・フライパン・タブレットホルダー

 こちらの写真の通り、主に”料理する”のカテゴリー内にかなり唐突に陳列されています。確かに台所のシーンを想起させて素敵な陳列!オリーブオイルが再下段に置いてあるあたりに妙なリアリティを感じます。(我が家ではオイル関係は下段に置くんだけど、うちだけだろうか?)VP※だけでなく、IP※にすらシーン提案を入れてくる発想は普通はかなり「ぎょっ!」とします。なぜなら、買い物しづらいから。だって、ケチャップが欲しくてIKEAにやってきたお客さまからすれば、ノーヒントですからね。目的を持って来店されるお客さまに対しては、非常に不親切な売場と言わざるをえません。

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↑食器売場に突然の冷凍オープンケースも、結構印象的でした。

 じゃぁなぜこんな売場にするのか?

■店舗はもはや売場ではない。

 IKEA原宿店の家具の展示数は約1000点で且つ店内に在庫がないものも多く展示されているようです。もちろん郊外店のような広大なバックヤードがあるはずもなく、後日配達が大前提。ARを活用し、自宅で家具を実際に設置したイメージを確認することができるサービスも話題になっています。実際、私も展示されていたトラッシュカンが欲しかったのですが、現地在庫はなく、さくっと「オンライン注文してください。」と店員さん。(関係ないけど、ABCマート新宿の店員が、在庫探して汗だくで駆け回っている姿がふと頭をよぎり、勝手に不便に思ってしまいました…)”売る場所”としての”売場”はもはやここには存在していないのでした。

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↑IKEA原宿店でくつろぐ女性たち

■店舗の小型化の先に

 ここまで原宿IKEA凄い!的なことを書いてきましたが、実は原宿店に限らず従来の郊外店でも基本的には同じような手法で出店してそれほど目新しい考え方ではないです。ただ、今回同じ考え方フォーマットを原宿の一等地に違和感なく集約させている点にとても可能性を感じました。

 人口減少に伴い、郊外でも巨大モールが我が物顔をしていられる時代は確実に終わりがきます。商業施設も売場面積縮小は避けられず、既存モールですら面積を削って空き区画が出ることをお客さま側も許容していかなければならなくなってくるはずです。それでも、ショッピングモールや百貨店に出かけた時のワクワクやドキドキは絶対に失ってはいけないと思います。それこそまさに商業施設が存在する意義だと思うから。

 IKEA原宿は、明確なターゲティングと独自の売場構成で、小型化しても大型店の時と変わらぬワクワクドキドキを維持して見せてくれました。面積が小さくなっても、商業施設の楽しみは工夫次第でどれだけでも生み出していけるんだ!と、勇気をもらいました!

※参考:VP?IP?https://shopcounter.jp/magazine/knowhow/about-vmd/

↓記事の内容とは関係ないけど、IKEAのワゴンおすすめです。

湯浅亜木















































































































































































































































































































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↑食器店の間に冷凍オープンケース



■意外とステレオタイプなゾーニング構成

 1階入口から店内に入ると、ふわっと香ばしい香りが漂います。

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↓オススメ:IKEAのキッチンワゴン

↓参考:先日のWITH HARAJUKUの記事




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