見出し画像

デザイン組織の活動を可視化して半年経った所感

こんにちは、ファインディでデザインマネージャーをしていますムカイ( @osk_kamui )です。

■ 可視化して半年経ちました

ファインディのデザインチームでデザインに関するあれこれを可視化してから半年経ちました。

見渡してみるとあまり世の中のデザインチームが可視化にトライしている話を見ないなと思い「可視化した結果どうなったのか」という話を書いていきたいと思います。


■ なぜ可視化しようとしたのか

価値提供最大化のため

「デザインでビジョン実現を早める。」をテーマに活動している弊デザインチームですが、そのためにも顧客価値提供最大化(≒事業貢献)がとても大事と捉えています。

そんな中、現状事業成長がとても早く、デザインチームもさらに最高のパフォーマンスを出し続ける必要があり、デザインという領域においても自分たちが今どういう状況でどこを目指し、どうギャップを埋めるのか。を知り、実行していく事が益々重要になって来ました。

ですが当時は自分たちのパフォーマンスを知る事が全然できておらず、「測れないものはマネジメントできない」という金言を胸に、可視化に踏み出しました。

また弊社の提供するエンジニアリング組織のパフォーマンスを最大化するFindy Team+というプロダクトを社内のエンジニアたちが自分たちもユーザーとして利用しており、開発者に関するデータが既に可視化され活用されているのを見ていたため、デザインでもできるのでは。という思いもありました。

■ 何を可視化したのか

どの部署の誰から、どういった相談があるか

こういう事したい!がどれくらいあるのかを見える化しました。
なんとなく数は把握していたのですが、どの部署から、誰からどういった相談があるのかというのは正直把握できていない状態だったので、まずはここから。という感じで始めました。

完了数、完了までのスピード

どれだけ事業に貢献できたのかを表す上で「数」はとても重要です、日ごと、週ごと、月ごとにその完了数と、完了までのスピードを見ています。

もちろんカテゴリ別の割合も見ているので、どういったプロジェクトだとどれくらい時間がかかるのか、どれくらい世に出ているかが見れています。

コメント数

往々にしてプロジェクトの規模に対してやり取り数が多いと何かが起きています。手戻りやマテリアルが揃っていないなどが頻出なのですが、そういった内容を1つ1つチケット(カード)の中身をみる事が難しい中、やり取り数の見える化である程度把握できるようになりました。

もちろんそういったものは振り返り対象となり、今後の改善に活かされます。

締め切り前に完了した数と割合

締め切りが全てではないものの、締め切りは他部署との「約束」ということで、ここにどれだけミートできたかも見ています。

小タスクの量や進捗

タスク分解できているという事は「見通しが立っている状態」と言う事で、弊チームではプロジェクトに対して小タスクを必ず作るようにしています。(プロジェクトの種類によっては小タスクは自動生成)そこで作られたタスクの量や進捗をプロジェクトに紐づけて見れるようにしています。

常時数百の子タスクが動いています

何に投資しているか

デザインも経営資源と考えると何に投資しているかは見るべき指標と考え、時間の投下割合と概算の金額を出しています。

また事業だけではなくデザインへの投資(Ops改善、テンプレート作成など)をどれくらい行なっているかも見えるようになっているため、健全に自分達の改善も行えているかの指標ともなっています。

直近三ヶ月のアロケーション

毎日のTODOリスト

弊チームでは1人で複数プロジェクトを持つことが前提のため、関わるプロジェクトが多くなると「何をすべきかの整理」をする時間が増えていきます。そこで、関わっているプロジェクトと小タスクをリストで見れるように整理し、毎日自動で更新されるようにしています。

小タスクは必ず作る運用になっているため、デザイナー自身のコストはゼロで日々のやるべき事が見える状態になっています。

また日々のMTGもGoogleカレンダーに登録されている予定を引っ張って来ており、このリスト1つで1日の色々が可視化されています。

あるデザイナーの1日のリスト

クリエイティブ(質)

某社のアイデアをお借りして、クリエイティブを35項目で評価しています。
それをグラフ化して直近の移動平均や項目ごとにグラフを作り、どの数字をどこまで上げるかという議論をしています。

みんなの状態

「複数プロジェクトを持っていて大変」「規模はそこそこだが新しい挑戦なので大変かも」といったその他もろもろの状況を合わせて「今どう?」を5段階で入力してもらっています。(← 余裕 🥳 😉 😐 🙄 👹 キビー →)

ここは「お気持ち」という事で、厳密にというより自己開示に近いものになっています。このあたりがどうワークしているかは後述。

週間で予実をグラフ化

■ 実際どうだったか

チームの成長が証明された

感覚的に持てていましたが、改めてスピード感を持って多くのアウトプットを出せていた事がわかりました。

数字の遷移を見る事で、前週、前月に比べてどう変化があったのかも見れるようになったので、Ops改善の成果や個々の成長もともに同じ目線で見る事が出来るようになっています。

直近ではアウトプット数が昨年11月からこの四ヶ月間で1.8倍に到達し、高い成長率を維持できています。

経営やメンバーと数字でコミュニケーションが取れるようになった

定性の情報が多くなりがちなデザインにおいて、どこの部署がどれくらいの相談があり、デザインがどう関わり、どれくらい時間をかけているのか、また課題がある場合は定量で共有し、どの数字を改善させるのかが話せるようになりました。

また仲間を増やす話においても、事業部で人が何名増えるとどれくらい相談が増えるのかが見えているため、「なぜデザイナーを増やすのか?(n回目)」という問いにもロジックを持って答えられるようになりました。

先日経営に送ったメッセージ

目標がクリアに持てるようになった

上記と似た話になりますが、デザイナーメンバーが目標を定量で持つ事ができるようになり、同じものを見て進んでいく事ができるようになりました。

例えば、「良いクリエイティブをつくる」という目標を持つ場合、上記の見える化がされているため「〇〇という項目をXXからYYに上げる」といった目標にする事ができます。

もちろん全てが定量というわけにはいかないので定性的な目標も残っていますが、それでも定量と定性の両方を持ってデザイナーとして成長していけるのはお互い納得感もあり良いのではないかと思います。

チームワークが活かしやすくなった

抱えているプロジェクトと締め切りがお互いに見える事、またお気持ち入力で状態がシェアしやすい事が相まって、周りからのサポートがしやすくなり「何かできることはないか?」「〇〇手伝うよ!」といった事が多くなりました。

チームが大きくなるとお互いに見えにくくなる中で、可視化がその一助になっているのは間違いないと思っています。

■ 可視化して気になる点

「見える」という事は「見えてしまう」という事

デザインに関わる色々がわかるようになった結果、良い面がある一方で、明らかになりすぎる点はあるかと思います。

例えばスピードが見える事で「自分のスピード大丈夫かな?」とか、締め切りが見える事で「間に合わせないと!」とプレッシャーにもなりえます。

そのためメンバーには「可視化は、より良いものを作って事業に貢献するために今を知るための手段に過ぎない。仮に締め切りの多くに間に合わないなどがあればその状況のおかしさに周りの人も含めてすぐに気づける。その場合は可視化が問題ではなく仕組みや他の部分に問題があるのでチームで改善していこう」と伝えています。

つくるための準備にやや時間がかかる

見える化をするためにはその元となるデータが必要になります。そのため、ある程度のフローが必要であり、今までは存在しなかったステップが増えることになります。

事前準備は大変重要ですが、それが足枷にならないよう常にメンバーと話し合いながらバランスをとるように心がけています。

GASの運用コストがかかる

可視化を進めるためにGASを大活用しているのですが、日々Opsのアップデートや、新しい可視化をする度にGASに手を加えることになります。

ほとんどのコードはGPTに書いてもらっているので実装コストはかなり低いのですが、日々の運用の中でエラーが起きたりなどすると、その原因特定や解決まではまだまだ人の手がかかる所です。

また高速化や効率化をどうするかという点に向き合う必要もあり、無くてはならないものになってしまったからこその状況になっています。

■ 可視化の流れは不可逆?

昨年から事業(経営)とデザインを融和させていく流れが今までよりも早いスピードで来ていると感じています。

事業へコミットしていくためには、事業理解であったり、それを実現するためのスキルも持ち合わせていることは大前提となります。

ただ、その一歩として今どういう状況にあるか?という事を把握をし、組織的に動いていくためには可視化がビジネスとデザインの融和の一助になるのではと思っています。

■ さいごに

可視化して半年、だいぶPros Consが見えてきましたが、今のところ良い点の方が多いと感じているので引き続き可視化は続けていきたいですし、可視化し活用する文化は着実に根付いてきた感じがり、これからさらにチームが拡大する上では大きな変化だと感じてます。

ですが、まだまだやれていない事も多く、可視化が全てではない事も、可視化をしてわかってきました。それを踏まえ、引き続きデザイン、事業に誠実に向き合いながらデザインでビジョン実現を早めていければと思います。

ファインディではデザインの力でビジョン実現を一緒に早めていける仲間を募集しています。少しでも気になった方は是非お話ししましょう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?