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pixivノベル大賞2022Autumnでノベル賞をいただいたことにかこつけて、さっそく自作語りをする。

PIXIVノベル大賞結果発表

 僭越ながら自作の掌編「フェアリーファイト」でWEB小説のコンテストに入賞しました。せっかくなので自作語りします。……ハイ率直。どう言い訳しようともこれは自作語りであり、それから私のための覚え書きでもありますのでもごもご。

1.概要

 pixivノベル大賞2022Autumnは、四つのイラストのいずれかをテーマに三千字以上の物語をつくるという内容で、各イラスト毎に1〜4作の入賞を出す、とのことでした。
 500作強の応募があった中で入賞15作の一つに選んでいただいたという事実を、これがなかなか、実感できないでいます。作品それぞれの字数についても様々、一律4作ずつ入賞というわけでもないようですね。pixiv小説編集部様は「応募作全部目を通すよ」という方針だそうです。すごい、そしてありがたい!

 私がテーマとして選んだのはtono氏が制作されましたイラストD部門です。妖精と蜜蜂とローダンセマムというお花が描かれた、のどかな空気が感じられるイラストで、まさに絵本にぴったりだというのが第一印象でした。
 運営サイドからpixivノベル掲載用でテキストデータを提供してね、とメッセージをいただいたため、誤字脱字チェックを兼ねて数ヶ月ぶりに自作を読み直したところ……、自作のテンション高すぎて笑ってしまったし、冷や汗が出ました。こちらのイラストに求められるのってふんわりした感じなのかもよ……? 大丈夫なのかなこれ……? 「妖精の養成教室」とかほんとにシラフで書いたのか?? ……と。
 さらに、投稿の締め切りが過ぎて即やったことが確か反省点のまとめでしたので、入賞するとは微塵も思っていなかったのでしょう。
 せっかくなので、冷静だったその頃に反省していたことを中心に、自作を振り返ってみようと思います。

2.自作の反省点はしかし杞憂でした

 反省点は大きく二つあったのだが、ことごとく講評で触れていただきました。あえてそれらを書いたことが功を奏したんだろうな、という結果論です。

 反省一個目。

 付け足した感がモロに出ているローダンセマムに関する最後の段落は、もう少し淡く掘り下げていれば深みのようなものが出せたような、そんな気がしている。

自分のメモ帳より

 本文の中ではいちばん最後に思いついた部分です。応募締め切りまで時間は確かまだ一週間くらいあったはずなのですが、書き足すことで満足してしまったのだろう、その後はあまりいじっていません。もう少し字数を使っても良かったんじゃない? という。他の段落でローダンセマムにさりげなく触れて伏線ぽくするとか、ですかね。
 それでも講評で触れていただいたところなので、書いたのは正解だったのかなと。おそらくですが、アクションばきばきキャラに仕立てた蜜蜂と妖精がいたので、かえって物静かなローダンセマムは対比が効いたのだと思います。結果オーライな自己評価です。

反省点二個目。

  妖精と蜜蜂については、やりすぎってくらい濃いキャラに仕立てることが出来たと思っている。しかしあまりにもイラストの雰囲気から逸脱したのがもしかしたら悪さをするのでは……? と心配だ。

自分のメモ帳より

 なるほど。果たしてどんなキャラ作りをしたのだろう? キャラクター設定の簡単なメモが残っていました。どれどれ……。

 蜜蜂は、サラリーマンタイプで意外と冷静。だから女王蜂をボスとして働きはするが(給料がいい?)、本心ではボスのことを強欲だなと思っている。観察が趣味でめっちゃ冷静に見ちゃうタイプ。妖精に、このスケベ!って言わせるか。それか「じろじろ見るなよ。キモいわ!」でも良し。
 妖精は、おてんば気質ゆえに妖精として褒められないことがコンプレックス。反対に褒められる可憐タイプの仲間たちを見ていていい気はしないので、承認欲求をつのらせている。その点を除けば「天使にラブソングを」のデロリスっぽい。自己肯定感高く楽しいことが大好き。後々の展開があれば妖精全員を戦闘民族に目覚めさせるのはあり得る。妖精たちが世間知らずなのをいいことに、騙くらかして。楽しいな。

自分のメモ帳より

 ……だそうだ。なるほど、やりたい放題です。しかし苦手意識を持っていたキャラクター作りが楽しく出来ていました。私のいちばんの成長が今回はこの部分だったと思われます。お母さーん、私、脱皮しましたあー! ははは!
 字数としては、応募作の中では少ない方だと思われます。へたしたらこちらのnoteの記事の方が長くなりそうなくらい。それでも初稿が規定ギリギリの三千字ちょっとで、そこから一千字近く書き足しているわけでして、上記のようなキャラクター背景があったおかげで肉付け作業がうまいこと作用したのだろうなと思っています。

3.自作のお気に入りポイント

 蜜蜂の容姿や植物に関する描写です。蜜蜂の瞳を「黒豆」に例え、胸のモコモコをポージングに活かし、歯軋りは、顎の噛み合わせで表現したこと。蜜蜂の容姿やローダンセマムの性質について調べて物語に活かすのは、楽しい作業でした。(ローダンセマムは寒さに強いのだそうで、そちらも小道具として活かすことが出来ました。)

 少ない字数の中で盛りだくさんのピンカーブ的なアクセントを入れたので、良い意味で私らしくない、スピード感ある作品となりました。(イラストにはいない親子を登場させたのは、我ながら濃ゆい味付けでした。交わってはいけない世界線のニアミスにより、展開に強めのギアを入れられました。)
 
 応募要項にあった「あらすじ」については「選考対象」と書いてあったので本文と同じレベルで推敲しました。ふだん書くキャッチコピーのような「結末やいかに……!」と読み手を煽りたいあらすじとはまったくの別物のようで、結末まで書くのが公募での通例なのだそうです。pixivのコンテストに参加するまで知らないことでございました。

それからおまけですが、タイトルの候補はこんな感じでした。

  • フェアリーな決闘

  • フェアリーファイト

  • フェアリーファイッ!!

  • ゆる決闘

  • プチ決闘

  • 小さな試合

  • 小さな小さなお手合わせ

  • 自堕落妖精と生真面目ミツバチのゆる決闘

  • あまのじゃく妖精と社畜風ミツバチのフェアリーファイト

  • フェアリーファイト(タロウは見た)

 私の趣味としてキャッチコピーを考えるの大好きマンなので、毎回タイトルについてはたくさん候補を挙げています。やはりタイトルで興味を持っていただきたいので張り切ってやってます。
 お気に入りは「フェアリーファイッ!!」でしたがあまりにも口語すぎて却下。
 最下段はかの有名な「家政婦は見た」のもじりですね。キャッチーではありますが、今回は事件推理ものではないので採用できませんでした。

4.祝杯だ。

 コンテストは結果発表がともなうものなので、何度参加してもワクワクできて楽しいもの。ましてや入賞できるなんて、ちょっと夢心地です。
 かつて高校生の頃の小論文の宿題が、◯でも×でもなく、大きなクエスチョンマークを赤字で書かれて返ってきたときに、私の中でメラメラと「まともな文章を書けるようになりたい」という決意が固まったような気がします。
 そもそも論じることと物語を書くことは根本から違うような気もしますので、当時の私も小説にトライしていたらひょっとしたら、褒めてもらえたかも、ですかね。そういう宿題はなかったし、当時はとにかく文章が書けないと思い込んでいましたので。しみじみ。
 そんな経緯があるため、まさかの栄えある入賞作に選んでいただきちょっとほうけています。

 pixivノベル掲載というたいへん楽しみな副賞も残っていますので、引き続きよろしくお願いしますという気持ちです。
 嗚呼、嬉しすぎる……!

以上。長々と失礼致しました。ヨロコビの舞〜。

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