1/44 ずっとやりたかったことを、やりなさい。

2018年夏、私は一度日本に帰国した。その帰国は数週間と予定していたが、予想していなかったことが次々に起こり、結局私は半年間日本で過ごした。

自分が望む通りに物事が進まない。

焦りと今後への不安を抱えた時に、アメリカで私のことを心から応援してくれるコーチから勧められた本。

『ずっとやりたかったことを、やりなさい』ジュリア・キャメロン著 菅 靖彦訳

著者であるジュリア・キャメロン氏は、ハリウッドで長期に活躍するライター、脚本家、ディレクター、監督であり、彼女の活動は多岐に渡る。

しかし、彼女の人生は華々しいことばかりではなかった。

私たちからは、華やかで創造的な世界に住む彼女にも、創造性を取り戻す時間が必要だった。この本は25年以上も前にアメリカで出版され、この本を教材にしたスタディーグループや大学などの研究機関もある。

その彼女がこの本を通じて私たちに伝えたいこと。

人々は生まれもって皆アーティストだった。その芸術性を取り戻し、自分の人生を取り戻す。ということ。

彼女はモーニング・ページというノートを用意し、朝起きた時に30分間感じるままに文章を書くことを提案する。書いた文章は読み返す必要はない。誰にも見せる必要もない。だた思いつくままに書き綴る。

そして、週に1度、自分が行きたかったところに行く、やってみたかったことをやってみるというアーティスト・デートを創造性の回復のために提案している。

さらに、各章に自分の自由な発想や創造性を思い出すためのエクササイズや質問があり、それぞれの項目が自分の奥底にある何かを引き出す。

実際にモーニング・ページを3ページ書くことは、私には大変なプロセスだ。実際に文章になっていないことは毎日である。

飲みかけのコーヒー、寒い、今日はなぜだかパイが食べたくなる。など、特別意味を持たない言葉が連なる。

しかし、これをバカにはできない。この一見意味のない単語の連鎖が、思考の掃除になり、創造的に生きるヒントとなる。

アーティスト・デートも同じく。日々のルーティーンに流され、自分が行ってみたかったところ、やってみたかったこと、自分を満たすためのほんの1時間程度で終わることもさえも、私たちは疎かにしている。行ってみたい、やってみたいという閃きには、何かヒントが隠れている。

意識しないとすぐに忘れてしまう。だから、私は行きたい場所、やってみたいことリストや雑誌の切り抜きを手帳に保存している。

実際に行動に移してみて、全てが納得の結果になったわけではない。実際に行ってみるとピンと来なかった、やってみたら好きではなかった。ということもある。しかし、ここで大切なことは、自分の好奇心に従って、自分と約束を守ること。自分の心の声に忠実に過ごした。ということではないかと私は思う。

この本をコーチが私に勧めた時、全てが思う通りに運ばない時だった。

これは、何をやってもうまくいかないなら、何もしないで一度立ち止まり、新しい自分の人生を立て直すチャンス、そして私の中で忘れ去られていた創造性を取り戻す時が来たという合図だったと思う。

人々は生まれもって皆アーティストだった。

私も強く同感する。私たちは、成長するプロセスの中で、社会との関わりから生きるためのルールが増え、身を守るために他者の期待に応えることを優先し、自分のユニークな部分を隠すようになっただけ。でも、アーティストの部分は私たちを見捨てない。私たちに思い出してもらえる日を辛抱強く待っている。






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