読書記録③『境遇』

過去が似ている人が友達になるということ

あらすじ
主人公ー陽子は政治家の嫁である。近々、旦那が立候補する選挙が行われる。そんな時期、幼い息子を寝かしつけるために作った絵本が賞を取ってしまった。
政治家の嫁であり、絵本の賞を受賞した陽子を妬んでか、息子が誘拐されてしまった。身代金の代わりに要求されたことは、真実を明かすこと。
陽子自身の「境遇」を振り返ることになる。

感想
陽子はボランティアで訪れた養護施設で、晴美と出会った。境遇が似ていることをきっかけに2人は仲を深めた。陽子の持つ「境遇が似ていなかったらこんなに強い繋がりを持てただろうか」という疑問が作中で何度も繰り返し読者に伝えられる。
私は、過去が似ている人が友達になったとき、お互いの幸せ具合を比較してしまうのではないかと感じた。始めから、家庭環境の違う人が成功しても「恵まれているのだ」と諦念することができる。しかし、家庭環境が似通っていると言い訳もなにもない。物語の本筋とは違うが、こんなことを感情的に考えてしまった。結末を知った後、また読み返したくなる作品だ。

最後に
4月の読書記録、ぎりぎりセーフ!
今回は、湊かなえさんの『境遇』です!なんとか間に合って良かった(笑)


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