読書記録④『すみせごの贄』5/28

今月は、澤村伊智の「すみせごの贄」を読んだ。

私が澤村伊智を知ったのは「ぼぎわんが、来る」という作品だ。
霊障の表現で、本を読んでいる間ぞくぞくしたのを覚えている。また、章ごとに視点が変わるため、複数の話し手から見た「真実」を読むことで、物事の全容が明かされていき、一気に読んでしまった。

今回は、そんな澤村伊智の作品が店頭に並んでいたため、思わず買ってしまった。私の予想とは違い6つの短編集だったが、複数の作品が読めると考えてみれば、お得だろう。

感想
「ぼぎわんが、来る」では、出てくる幽霊が怖かった覚えがある。
今回の作品では、幽霊の怖さよりも登場人物の心の動きが印象に残った。
最初の話では、不登校になった少年が、父親の知り合いの記者の取材に同行する。記者の野崎の人間性に触れ、話の終わりには学校に通うことに対する抵抗がなくなった。
短編の中で流動する登場人物の心の動きに、「それな」と同意したり「いや、分からん」と反対したりと楽しく読めた。

5月も終わり、梅雨の季節に入っていくのが憂鬱だが、何か楽しみを見つけれれればと思う。

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