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『虎に翼』第2週感想 ~同じ地獄を行くもの同志は割と対立する~ 

2024年4月期の朝ドラ『虎に翼』、私も毎日楽しみに見ています。
私は、細かい描写に瞬時に気付くのは得意ではないし、考察などはSNSで見て楽しむタイプですが、自分なりの感想をまとめてみたいと思いました。あくまで、私個人の体験や生活に引き寄せての感想なので、その点をご了承ください。
第2週目の感想です。

第2週のあらすじ・公式ダイジェスト動画は、下記のリンクからどうぞ。

昭和ひとケタの大学進学女性は後ろ指をさされる

第2週の冒頭で、大学から帰宅する寅子を、近所の人がこそこそと後ろ指をさすように見ている場面があった。
第一週の感想で、私は、少数派という点で、「現代の不登校」と「この時代の女子の大学進学」に共通点を感じたことを書いた。

実は、第1週の感想を書いたとき、2週目の放送がはじまっていた。ぼんやりと感じていた、登場人物の言動への共感は、この「後ろ指をさされる描写」で、私の中で明確になった。いつの時代でも、人と違うことをすると、何か言う人がいるのは同じのようだ。

昭和ひとケタは女子が大学に進学すると後ろ指をさされ、「あの子は大丈夫か」と言われる。それは、結婚するのが普通で最上の時代に「行き遅れる」からだ。
戦後の高度経済成長から、平成を経て令和の今、30万人に増えた不登校の多くは苦しんでいるし、後ろめたい。多数派の中には不登校を責め立てる人もいる。それは学校に行くのが普通で、学校に行かないと就職で困り仕事ができないと多くの人が思い込んでいるからだ。(実際には進学もできるし、不登校経験者で働いている人もたくさんいる)

「常識」「普通」というものが、いかに不安定で移ろいやすいことか。

同じ地獄の道を行く同志

第2週は、同級生の「山田よね」と寅子の関係を軸に、離婚をしたい女性が夫に自分の財産(母から受け継いだ留袖と嫁入り道具の鏡台等)の返還請求をした裁判についての話を中心に進んだ。

寅子たちの裁判の傍聴と実習を通して、当時の法律上の「妻」という立場や「財産の管理」のあり方を知り、女性の人権とは何だろう?と考える週だった。

裁判の流れは、見逃し配信を見ていただくとして、裁判を見終わって学友たちと裁判所を去るときのやりとりについての感想をまとめたい。

「法律とは、ああいう男(DV的な振る舞いをする裁判の被告)を殴れる武器であるべき」と考える「よね」に、主人公の寅子が言う。

法律とは、弱い人を守るもの。盾とか、傘とか、あたたかい毛布とかそういうものだと思う

第2週・第10話 主人公の寅子のセリフ

「お前とは考えが合わない」と突っぱねる「よね」。
「合わない人とは無理にご一緒しなくても」と距離を取ろうとする学友たちに対して寅子はいう。

一個の人格者として認められていない女のくせに、法律を学んでいる。
地獄の道を行く同志よ。
考えが違おうが、共に学び、共に闘うの。

第2週・第10話 主人公の寅子のセリフ

とてもいいセリフだし、寅子らしいセリフだ。
しかし、これがまた、私にはグサグサ刺さった。

少数派の中も、いろいろ違っている

例えば不登校の保護者同士でも、考え方の違いで対立しているような場面に、たまに出くわす。当然だけれど、いかに少数派といえども特定の属性の人たちがみな同じ考え方で、同じバックボーンであることはあり得ない。現実世界でも、ドラマの世界でも。

特定の属性の中で、誰かが目立つ行動をしたときに「全体がそういうイメージで見られるから迷惑だ」と感じたり発言したりする人たちが出てくることがある。だが、ほんのちょっと考えれば「その属性みんなが同じ」であることは、まずありえない。「みんな同じ」と思い込むのは、哲学で言うところの「一般化の罠」だ。人間は、そういう思考に陥りやすいだけのことだ。

対立せずに「あの人は違うんだな」「いろいろだね」と、とりあえず置いておく。そんな言動をできるようにならないとな……と、私は常日頃考える。

寅子のように「共に闘う」までは、私にはできそうもないけどね。

ドラマ上では、おそらく次週の第3週では、学友たちそれぞれの背景が少し描かれそうである。

第三週の予告とあらすじは下記リンクから。

アイキャッチ画像:(UnsplashBlake Meyerが撮影した写真)

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