『虎に翼』第1週感想~女子の大学進学と息子の不登校が、なぜか重なって見えた~
すでにSNSでは絶賛の声がいっぱいの、2024年4月期の朝ドラ『虎に翼』、私も毎日楽しみにしています。
私は、細かい描写に瞬時に気付くのは得意ではないし、考察などはSNSで見て楽しむタイプですが、自分なりの感想をまとめてみたいと思いました。あくまで、私個人の体験や生活に引き寄せての感想なので、その点をご了承ください。
第2週以降も書き続けられるかな…?今は、続けたいと思っています。
わが子の幸せを願う母、はる
伊藤沙莉さん演じる主人公・寅子が、「明律大学女子部法科」に進学することを反対していた、石田ゆり子さん演じる母親「はる」。その「はる」が、一転、進学を後押しすることになる展開に、ぐっと来た。
昭和初期。まだまだ封建的な社会の中で、女学校卒業後すぐ、または在学中に「お嫁に行く」ことがスタンダードな幸せであった時代。
結婚こそが幸せという考え方にどうしてもなじめない主人公の寅子が、偶然の出会いをきっかけに「法律を学ぶ」道を目指す。
はじめ、母「はる」は反対する。それは娘の幸せを願っているからだ。はるは、自分の子ども時代の体験に重ねて、娘、寅子に語る。
このセリフを聞いたとき、まるで私は過去の自分を責められているようだった。グサグサと刺さった。
「親が想像する一番の幸せ」が「子ども自身の幸せ」と合致しないこと。「親のよかれ」が、子どもを尊重しないばかりか、親の価値観の押し付けになってしまっていること。それは、私自身も経験がある。
親の側はこの時点でうすうす気づいている。自分が子どもを傷つけていることや、子どもの自由を侵害していることに。
けれど多くの親は「子どもより長く生きて、多くの経験をしている」ことを理由に子どもに説得を試みてしまう。
少数派の道を行くつらさを、わが子に味わってほしくない。しかし、そのつらさは親自身のものだ。子どもが感じるつらさとイコールではない。
子どもの幸せを願うことと、子どもを尊重すること
私の息子は不登校で、現在は通信制高校に通っている。発達障害でもある。
「法律家を目指して進学する」寅子の生き方と、私の子どもを重ねることを不愉快に感じる方もいるかもしれない。ただ、「少数派として生きていく子どもの母親」という一点において、私は、はるさんに共感した。
私は、わが子がいわゆる「スタンダード」「普通」とは、「少し」いやもしかしたら「すごく」違っていることは、子どもが幼いころから、なんとなく感じていた。
だから「将来困らないように」と、なんとか「普通」の中で生きていける術を身に着けさせようとしていた。
それは、良かった面もあったかもしれないが、息子を尊重することではなかった。息子がいよいよ「不登校」ということになったとき、それを受け入れるのに長い時間がかかったし、「わが子らしくいられるなら、それが一番」と、本当に心の底から思えるまでには段階がいくつかあった。
私は5年ほどかけて、自分の中にある「思い込み」や「普通」が少しずつ少しずつ、はがれていった。「子どもを尊重する」ことの本当の意味に照らし合わせて、わが子に向ける自分の言動をコントロールできるようになった。
二重に爽快だった、第一週のラスト
第一週のラストの展開は、SNSの感想も歓喜にあふれていた。
他人である「若造」(松山ケンイチさん演じる桂場)に、寅子が「法律家になるのは無理だ」と言われた場に、母のはるが居合わせる。そして、その「若造」の言いぶりにカチンと来てしまい、啖呵を切る。最終的には振袖を買うはずだったのが、「うちの娘を見くびるな」とばかりに書店に飛び込み「六法全書ください!」となる展開で終わっていく。
私にとって、これは二重に爽快だった。
ひとつは、「母はるが寅子の味方になって、寅子の進学の道が開ける爽快さ」。
もうひとつは、「親が自分の願いと、子ども自身の願いを切り分けられたことによる爽快さ」だ。
誰かに説得されたわけではなく、親自身が「私の願いは私の願い、この子の希望はこの子の希望」と切り分けられたとき、迷いがなくなって、本当にすっきりする。楽になる。私自身のそんな体験と、泣きそうだがどこかすっきりした、はるさんの笑顔が重なった。
今からでも間に合う!
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アイキャッチ画像:UnsplashのBlake Meyerが撮影した写真
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