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「バタフライしなくて済む方法」

学生時代、水着を着てプールサイドに立っていると「バタフライ上手そう」と言われました。

実は金づちです。

クロールは出来る?けれど息継ぎが出来ないという致命傷がありました。
他の泳法などもってのほかです。

実は泳げない…とバレるのが怖くて25メートルを息継ぎなしで泳げるという偉業を成し遂げ、
こちらは命懸けなので当然1位です。

息が出来ないのですから、最初の一息でゴールしなくてはいけません。
しかも、他人は息継ぎをしていない私の事など見ていませんから、1位になった私は「ほら、やっぱり!」と不本意ながら「泳げる人」認定を受けます。

年に1回開かれる水泳大会で泳法を選ぶ時など必死です。
ジャンケンで負けてしまえば、バタフライをする羽目になる。
泳ぐ前から大会が始まっているようなものです。

「能力のあるフリ」

体育委員を務めるクラス1番の美人さんが「私泳げないんだよね」と可愛く告白する姿には心底嫉妬しました。
こちらはくだらない見栄を張ったばかりに命をかける事になったのですから当然です。

卒業間際、体育の先生に「お前、泳げないのによく頑張ったな」と褒められた時には、ひと味違う涙が流れました。

「バレてた」
「いっそバラしてくれたら良かったのに」

このように、「能力のあるフリ」をすると、
しなくても良い苦労をする上に、なぜか誰かにバレています。

最初プールサイドに立ったあの時に「実は泳げないんだ」と言ったところで、誰も責めたりはしないし、笑い話になっていたはずです。

不思議と人は弱点を明かす人に親近感を持ちます。

長所と短所をさらけ出した上で関係を築く。
そうすれば、後で欠点がバレた時に信用を失わずに済みます。

自分の長所だけではなく、短所も公開する。
そこから始まる関係を今は大切にしています。

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