「2人乗りの自転車/AKB48(teamB)」を深堀りする
〇はじめに
僕に音楽に関する知識は全くありません。人並みにカラオケが好きなのと応援歌を耳コピしてパワプロに打ち込むのが好きなくらいで小節とかコード進行とかは何も分かりません。そういう音楽面からの深堀りを期待していた人はごめんなさいだけど、良かったら最後まで読んで欲しい。
〇2人乗りの自転車という楽曲
そもそも「2人乗りの自転車」とは、AKB48 チームBの「パジャマドライブ」公演で、「初日」「必殺テレポート」「ご機嫌ななめなマーメイド」の後に続けて披露される4曲目の楽曲になります。まずはそんな曲聞いたことねえよって人も、知ってるけど最近聞いてないなーって人も、いや俺は毎日聞いてるが?って人も、1度この記事を読みながらでもいいので聞いてみて欲しい。YouTubeにはないけど(Premium会員に入っていれば聞けますが)サブスクサービス全般で聞けるはず。
2人乗りの自転車(Team B) - AKB48
https://youtu.be/ltLGDh-ByU4
今イントロでテンション上がりましたよね?僕もそうです。
特にこの曲ちゃんと聞いたことないよ!って人は1度何となく聞いてから読んでもらえるとより理解が深まると思います。
さっそく歌詞の世界観を探っていきます。
〇歌詞と考察
「Don't Stop 止めないで My love 永遠に ちょっと見逃してよ このまま」
まずここの“Don't Stop 止めないで”の部分です。ここだけ見ると「My love」=恋心 を止めないで、と取れますしもちろんそういう意味とあると思いますが、曲を聞けばわかるように今この歌詞の主人公(以下、Aくん)は好きな子を乗せて自転車を漕いでいます。つまり、自分の片思いも自転車も、「永遠に」このまま止まらないで欲しい、だから今くらい「ちょっと見逃してよ」というAくんの気持ちが歌い出しの「Don't Stop止めないで」に既に詰まっているわけです。ここの時点で既に秋元康によるAくんの気持ちと自転車の対比は始まっていると言えます。
「Go toどこへでも Heaven君となら 走り続けたい cause I loving you!」
いいですね。甘酸っぱくなってきました。まだ序盤も序盤ですよ?cause I loving youは直訳すれば「愛してるから」という意味なので、君とならどこまでも走り続けたい、なんなら天国まで、というAくんの熱い思いが伝わってきます。ここでも先程と同じようにどこまでもずっとこのまま走り続けたいAくんの気持ちと前に進んでいるであろう自転車が上手く対比されています。
「2人乗りをした 自転車のその後ろ 振り返ることもなく 僕はそっと呟いた」
「自転車のその後ろ 振り返ることもなく」ということはAくんが思いを寄せている子(以下、Bちゃん)は後ろに乗っていて、Aくんが漕いでいるのであろうことがここでわかります。後ろを振り向けないところがまたAくんの小心者というかチキンハートな部分を演出しています。ここでAくんは何かを呟きます。一体何なのでしょうか?
「ああ君にとっては ただのクラスメイト 同じ帰り道の 風のような存在さ」
サビに入りました。ここまででAくんはBちゃんの事が大好きだと言うのが伝わってきますが、BちゃんにとってAくんは「同じ帰り道」の「ただのクラスメイト」のようです。悲しいですね。
「風のような存在」、これもまた秋元康らしい表現方法です。秋元康はよく風を“背中を押すもの”や“行き先を示すもの”の表現として使う印象ですが、この場合は自分の横を通り過ぎていく“どこにでもあるもの”の比喩として使用しています。自転車で風を切っているということもあるでしょう。
「ああ冗談ばかり いつも言い合ってるのに 何故か今日は遠回りした儚い恋」
今日“は”という部分から、Aくんの自転車の後ろにBちゃんが乗っていることはあまり日常的ではないのかな?ということが伺えます。普段は2人ともそれぞれ別の自転車に乗って冗談ばかり言い合っているのに、今日はAくんだけが自転車を漕いでいます。
この2人乗りをしている自転車がAくんの自転車なのかBちゃんの自転車なのかは明記されていませんが、朝は雨が降っていてAくんは自転車で来たけどBちゃんは歩いて登校しており、帰りは晴れたのでAくんの自転車に2人で乗って帰る、なんていうところでしょうか。青春ですね。
「Don't say言わないで why notその答え いつか思い出になるまで」
2番Aメロです。Aくんは一体何の答えを聞きたくないのでしょうか。明記はされていませんが、僕は1番のサビ前でAくんが「そっと呟いた」ことに対するBちゃんの「その答え」を聞きたくないのかな、と想像しました。
「Be loved いつまでも One way 胸の奥 君といるだけで I'm so satisfied」
ここ、めちゃくちゃ好きな歌詞です。Bちゃんに対する愛おしい気持ちはいつまでもOne way=一方通行なんですよね。君といるだけでI'm so satisfied=満足だよ、ということになります。そんな悲しいこと言うなよ。お前が幸せにしてやれよと思いますが、AくんはBちゃんと一緒に今いるだけで満足出来てしまっているわけですね。
「勝手な想いに代償は要らない ペダル漕いでいるのは そこに道があるから」
2番もBメロに突入します。Bちゃんへの気持ちを「勝手な想い」と表現する辺り、本当にAくんはBちゃんに振り向いてもらえる自信がないんでしょうね。悲しい。
さて、「ペダル漕いでいるのは そこに道があるから」という歌詞は捉え方が難しいです。秋元康は「ペダルと車輪と来た道と」や「今がイチバン」のようにペダルを漕ぐという行為を前向きに進んでいく行為の例えとして使いがちですが、この場合はどうなのでしょうか。
Aくんは今同じ自転車の同じ帰り道がとても幸せなはずです。それだけで満足してしまうくらいに、そして遠回りしてしまうくらいに。つまり帰りたくてペダルを漕いでいるのではなく、むしろ帰りたくないのにペダルを踏まざるを得ない状況下にAくんは立たされているわけです。ですが「そこに道があるから」、Aくんはペダルを踏むしかないわけですね。ペダルを止めたくないAくんの想いは歌い出しの「Don't Stop 止めないで My love 永遠に ちょっと見逃してよ このまま」の部分にもよく表れています。とても切ない、本当に切ない。
「ああ僕にとっては 特別な君でも 何も気付かぬまま 背中越しの片想い」
2番サビです。AくんにとってBちゃんはやっぱり「特別な君」なんですね。でも、BちゃんはAくんの背中越しの片想いに何も気づいてくれないようです。「背中越しの片想い」っていうワード、どう生きてたら思い付くんだよ。
「ああ夕焼け空が 街を染めていくように 切なすぎる 2人の影がひとつになる」
ここも描写が上手いですね。情景がすぐに浮かびます。2人の影はひとつになるのに、気持ちはひとつになっていないというのもまた切なさを演出しています。ここからラスサビに突入しますが、これは1番サビの繰り返しになります。
〇まとめ
いかがだったでしょうか。
2人乗りの自転車は個人的に48Gで1位2位を争うレベルで好きな曲なので1度こういう事をしてみたかったんですよね。自己満足にお付き合いいただきありがとうございました。
個人的に「偶然の十字路」とこの曲は世界線が同じだと思ってるんですけど、その話もまたいつか。
これをきっかけに聞いたことない人が聞いたり、好きになったりして、もともと好きな人は2人乗りの自転車という楽曲をさらに楽しんでいただければ幸いです。みなさんも良き2人乗りの自転車ライフを。
よろしければこちらもどうぞ。
秋元康の中での自転車の立ち位置-あきじゃらん
https://note.com/aki_jaran/n/ne542e13f35a3
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