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暗箱

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2022年6月の記事一覧

詩「夜を追う」

小高い山の上の鉄塔がライトアップされて 郊外からもそれは見える 川を遡るように視線を泳がせると 高層ビルの灯り それに救われるひともいるから と微笑みながら 決して目を合わせないひとのことを思い出した 辺りには ヒグラシが鳴いている 誰かと比べないことと もっと辛い人もいるからと耐えることは 両立するのだろうか 線を引くたび 昔から変わらない筆跡だと どこに線を引くかも どんな形が浮かび上がるかも まるで普通だと言われて どこかで安堵していた それもまた特権だから と微笑む