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垣根から伸びる枝の先から 滴はこぼれ落ちて 雨が 上がったばかりの 曇り空を睨む 風は肌寒い温度で 思わずカーディガンを羽織る カーブを勢いよく曲がっていく 黒い乗用車から ガードレールに飛沫は上がり 黄色いランドセルカバーの 子供の背を濡らす幻 そこに立っていたことがあったろう いつか突然忘れたことを思い出すはずもなく 忘れたことさえ気づかない 例え思い出したとしても置き忘れたライターのように 手放してしまえばいいのだから 都合よく 今日も労働のためのバスを待つ 過ぎ