【有益じゃない記事】音声配信を50日以上続けた感想、あるいは発信ニーズと受信ニーズのズレ
子どもの頃から疑問だった。
僕が胸を踊らせ、「こいつは面白い」「最高だ」と思うようなことは、たいていの場合、周りに理解されないのだ。
実家の庭に手作りの水力発電を作ろうとしたときも。
大学時代のクリスマスイブにUSJに1人で行って「クリぼっち」と書いた紙を掲げたときも。
会社でレンガ模様の壁紙をくり抜いて半壊したレンガ壁を作ったときも。
あまりそれを理解してくれる人はいなかった。
脳の奥がふつふつと湧き上がるような高揚感を覚えて作ったものは、大体いつも「よくわからん」というリアクションで受け止められる。そいつは団体旅行客の泊まる旅館の大広間に敷かれた布団みたいに、作品をどこへ投げてもゆるくぬるく受け止めて、作ったものが跳ねることはついになかった。
1月1日からstand.fmという音声配信サービスで、ラジオを始めた。配信内容はほとんど趣味で、読んだマンガを紹介するだけのチャンネルだ。
伸びは上々だった。
90配信ほどでフォロワーは150人以上。相互フォロー作戦や営業いいね作戦などは一切していない、配信活動だけのアカウントとしてはまずまずだろう。
だけどまあ、どうしても、自分の脊髄をコンビニレジ横で売っている串団子みたいに貫く感覚があった。
面白くないんだ。
配信を始める前にある程度のノウハウは勉強した。聞きやすい話し方、情報のまとめ方、情報の出すべき順番。
もっと本気でやっている人からすれば勉強にすら入らないかもしれないけど、それでも方法論を学んでその通りやってみた。
結果は出た。十分に。妥当に。計算通りに。
その結果を、つまらないと思っていたのは自分だった。
自分で自分の配信が聴けない。聞いていてモヤモヤが貯まってくる。
誰でも言えることを言うな。誰でもわかることを言うな。
お前が感じたことを、お前が思ったことを。
お前が見た景色を、お前が信じた価値を、お前が夢見た未来を、お前が描いた世界を、お前が受けた衝撃を、お前が切り取った感情を、お前が読み取った文脈を、お前がつなぎ合わせた線を、お前が見つけた高揚を。
お前だけが話せることを話してくれ。
確認と勉強のために自分の配信を聞きながら、背骨の奥の方でそんな声が聞こえていた。
そしてここ数日、その声が主導権を握ってきたらしい。ただのおすすめマンガの紹介だった配信が、自分の色を持ち始めた。
・ファンタジー世界の盗賊っぽく、マンガ『葬送のフリーレン』を紹介する
・アクション映画の登場キャラっぽく、マンガ『よつばと!』を紹介する
色を出し始めた配信は、やっぱりウケが悪いらしく、数字は布団に投げられたボールみたいに弾まなくなった。
ただ、脊柱神経の奥に居座っていた声は、なりを潜め出した。
ようやくその声を、配信に載せることができたらしい。
多分これからは、加速度的に自分の色が増えていく。おかしな方法でマンガを紹介するだろうし、マンガ紹介以外もやるだろう。
それがいいと思うし、それしかないと思っている。自分が面白いと思うものをやる以上に、面白いことなんてないんだから。
stand.fmのアカウント
https://stand.fm/channels/5e665f6081d4e84e1faa3c5d
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