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ハイコンテクストな「笑い」ーあるいは現代の記録ー

ハイコンテクスト、ローコンテクストと言う言葉がある。

文化や言語において、オープンに表示された情報だけではなくそれがどのような文脈で用いられているのかによって意味が変わる、文脈の比重が高いか低いかを表す言葉である。

例えば日本語の「やばい」はハイコンテクストな言葉だ。文脈によって180度意味が変わる。

今回ツイッターでとんでもなくハイコンテクストな笑いを発見してしまったので、どうにかこうにかそれを誰かに共有したくてノートパソコンを叩いている。



それがこちら。読みながら声を上げて笑ってしまった。

何が面白いのか説明させてほしい。

まず前提となることを知っておいてほしい。それがないと面白さがわからないからだ。

ツイート主さんも書いているが、これから紹介する絵本はリレー形式で作られたものであり、おそらく1ページごとに作者が違う。そして旅館という土地柄作者同士の繋がりや連帯感はない。このことが後々の奇跡を引き起こすことになる。

ではそろそろ絵本のストーリーを見ていこう。


まずは1ページ目。非常にわかりやすくいい出だしである。絵本としてどこに出しても恥ずかしくない綺麗なスタート。このページを描いた桜井よし子32歳(予想)は、ここからうさぎちゃんと主人公が一緒にくつを探しに出かけ、その中で冒険を繰り広げるお話を期待したのだろう。


しかしその期待はたくみ5歳(予想)の手によってあっけなく吹き飛ばされる。聞かん坊であり親や大きな存在に反抗したいお年頃であるたくみ君は1ページ目の「こういうふうにストーリーをつくってね」という作者の意図をおぼろげながら読み取り、自分ができる最大のひねくれた回答でもって反骨精神を示して見せた。いけいけたくみ君!世界の明日は君のものだ!

さらに注目してほしいのが絵のクオリティの差である。靴とメルカリのロゴは大人が描いたように整ったデッサンをしているが、靴を売り飛ばしている人物?はどう見ても子供が描いた絵だ。おそらくたくみ君が「メルカリで売り飛ばす!」といって聞かないので母親が靴とロゴを描いたのだろう。文字もたくみ君が書いたのではないように見える。

今思ったがもしかしたら1ページ目を書いたよし子さんと2ページ目を書いたたくみ君は親子かもしれない。そうなればたくみ君の絵とストーリーがこうなった理由も色々と合点がいくのだ。親が作りあげたストーリーという予想と期待に反抗したかったのだろう。よし子さんへ、あなたの息子さんは将来有望です。


そしてそれを受け取った3ページめ。見事な中継!見事なキャッチ!たくみ意思を受け継ぎつつそれを大人のクオリティと目線で絵本世界のメルカリを表現した一枚!

うさぎのくつ以外の商品に小ネタを仕込むことで自分らしさも表現する抜け目のなさ、小憎たらしいぜ!きっと仕事では人の間に入って利害調整とができるタイプ。グループに一人はほしいバランス能力に優れたタイプ。

ここからこの絵本はメルカリ売買ものがたりとして完成に向かう。その意味でこの3ページ目の役割はとても大きい。


いよ、出ましたたぬき!みどりの国のたぬき、略してみど●のたぬき!

作者は空気読んだのでしょう。もうこれメルカリの話にするしかないぞと空気読んだのでしょう。

さあそしてここからどうくる5ページめ??


やっぱり売ったー!メルカリループに入ったー!

絵と文章から見て8歳くらいの子供だけどメルカリのことわかってるー!

もうこの「子供でもメルカリを理解している」ってのが読み取れるのもすごいですよね。


ストーリーを受け継ぐは4歳くらいの子(予想)。さすがに物語を前に進めることはできなかったようです。それでもメルカリを理解しているってのがすごいですよね。時代考証のための資料になりそう。


そろそろ絵本も終盤。まとめに入るのはおそらく13歳くらいの女の子。イラストの書き方から見て普段から漫画を読む習慣があってたまに自分でもイラストを書いてる。なんで僕こんなプロファイリングなきゃいけないんだそろそろ疲れてきた。


ラストーー!!どうにかまとめた!強引にまとめた!

最後の人は大変だったと思います。収拾つかないですもんこれ。虹の橋どっからでできたのとか2人は知り合いだったのとかツッコミどころは多々ありつつも「私が絵本らしく綺麗にまとめてみせる」というガッツを見せてくれた作者に拍手です!!


と言うわけでハイコンテクストな笑えるコンテンツを見つけたよーと言う話でした。

ここまで書いて思いましたけどハイコンテクストと言うより僕が勝手に読み取りすぎてるだけかもしれないですね。でも面白かったからそれで良いのです。

ここまで読んでいただきありがとうございました。それではまたどこかで!

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