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千葉市動物公園へのメール

2021年 月 日
千葉市動物公園
園長 様
 
屠体給餌へのサポートを求めるクラウドファンディングについて

時下、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。

表題の件、 プロジェクトの内容を拝見し、大きな違和感を感じました。とくに「廃棄処分される害獣の屠体を活用する」ことで「処理費用の軽減」、「社会課題の解決」につなげていくという、害獣問題に対する貴園のお取り組みについてです。

「害獣」という名の野生動物は存在しません。イノシシが農作物を荒らす「害獣」と呼ばれるようになった原因は、人間が野生動物の領域に介入し、生態系のバランスを崩したことにあります。この問題は人間と野生動物の領域を明確にし、地域における生態系のバランスを再生することでしか解決されないと思います。「害獣」というレッテルを貼り、鬼退治でもするような感覚で野生動物の命を奪うことは抜本的な解決になりません。

貴園は今回のプロジェクトの目的について、野生動物を含む自然環境、地球全体を守る活動に貢献することと説明されていますが、地域で生息する野生動物も地球の生態系の一部です。野生動物を守るべき動物園が屠体の活用先として「害獣駆除」という野生動物への暴力に加担することは貴園が掲げられているプロジェクトの目的に矛盾すると思います。

また、貴園が経費削減の観点から屠体利用を正当化することで、人間の経済活動に被害を与える野生動物は殺してよい、無駄にしなければ命を奪っても構わないというメッセージを地域社会に広めることになるのではないかと危惧しております。農作物への被害は殺すことよりも費用はかかりますが、防獣ネット、電柵、里山や緩衝帯の整備などで防除すべきだと考えます。

つきましては、自然生態系の保全・再生という動物園の社会的役割を再度ご確認いただき、今回のプロジェクトの見直しについてご検討いただきたく存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

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