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感想文「むき出し」を読んで

 2年程前からパリピ系お笑い芸人を推しており、2021年10月27日に彼の初めての小説が発売。奇遇にも自分の誕生日でもあり、当日楽しみだなぁと思っていたものの26日に立ち寄った本屋さんに当然のように平積みされていたので、当然のようにネット予約しているのは一旦忘れることにして購入、即読破。せっかくなので読書感想文書きます。もっかい読んだらもう少し自分の中でかみ砕けて、感想も変わるかもしれないが、1回目に読んだ後の感想文とさせてください。

 まず初めに、兼近大樹氏の「むき出し」を読むと、自分の中で一区切りついてしまうんじゃないかと少し怖かったです。2年くらい前にネタパレで時事ネタを見てから、ゴッドタンで間違い探しを聞いてから、その後にスクープ記事が出ていたことを知り(※知る順番がおかしい)、せっかくこんなに面白くて、熱くて、素敵で、応援したい人達に巡り会えたのに表舞台から消されてたまるか!と応援の熱が上がり、なんか勝手に彼が小説を出すまでは絶対に全力で応援したいとか思っていました。で、小説出たけど、読んだら応援したい気持ちに区切りがついてしまうんだろうか?そわそわしながら読み始めたし、ずっとそわそわしながら読んでました。

 本の第一印象としてはとてつもない自己紹介をうけた気がしました。装飾なく、こう受け取ってほしい〜というあとがきもなく、本当に「むき出し」であり、後は見た人が判断してくれ、と言われていた。今まで「こんなことまで書いてしまうのか、と驚きました!」と誰かが言っている本を実際に読んでみてこんなことまで書いてしまうのか!とか一度も思ったことなかったですけど、本書は本当にそう思った。そんなに丸出しでいいのか、寒くないのか、そんなにさらけ出して作者は傷つかないのか、心配になるくらいの「むき出し」。大丈夫?

 内容面では、いつか彼がどこかの番組で「本の中の悪いやつらが大体自分と被ってたのでびっくりした」と言っていたが、彼の本の中の悪いやつらは私だったのでそわそわしました。すごーくではないけど、比較的「生まれた環境が良くて、親が金持ちで、何の苦労も知らないで成功して」いるほうだと思っているのでそわそわしました。主人公の石山さんの前半の行動も考え方も全然理解できなくて、感情移入もあまりできなかったです。私は悪いやつら側なので。そんなことで殴んなよ!と思う。これは余談だけど、高校3年生の頃、大学も決まっていて暇だったので、勉強に追いつけていない生徒(同級生)にかけ算とわり算とマイナスの数字の概念を教えたことがあったのを思い出した。考え方から丁寧に説明したら、10分くらいで完全に理解していたので、普段どんだけ説明下手な先生が担当しているんだよ、と思ったのを思い出した。計算機使えたら良いということで重視されていなかった模様。いや、それはそうなんだけども、「なんで?」をそのまま放置していてびっくりした。自分は想像以上に学ぶ環境に恵まれていたんだなと思った。

 自分の限界のある想像力の中では、フィクションみたいな小説なんだけど、彼の今までのトークや雑誌記事のエピソードと一致してしまっているのでほぼほぼノンフィクションなんだろうと受け入れざるを得なくて、それもまたそわそわした。少年石山くんはすぐ殴るし、キレるし、ずっと寂しそうな一方、今まで自分が見てきた作者はとてつもなく優しく、遠くからでもキラキラしていて、顔から発光していたので、そこの差にうまく言い表せないもやもやを感じました。少年石山くんに「見てくれている人もいるよ!」と言ってあげたいが、多分少年には綺麗事にしか聞こえないし、当時彼がそう思える人が周りにちゃんといたのかも分からないし、むしろ自分は泣いて教室から逃げる人側になっている可能性の方が高い気がして、もはや何も言えない。なんかごめんね。無力感なのか、罪悪感なのか、同情なのか、ちょっと分かんないんですけど、きっと今後日本語の上手い誰かが言語化してくれることでしょう。

 結果として、なんやかんやでずっとそわそわしながら読んでいましたが、読み始めたら2時間くらいで読めちゃいました。面白かったです。とんでもない覚悟で書き上げられた本だと思いました。いい意味で自分の中でひと区切りはついた感じはしました。ついたんだけど、やっぱり欲が出てきてしまい、彼が「普通」の社会と擦り合わせを行なっていったプロセスももっと見せてほしかったと思いました。「常識を学ぶのにかなりの時間を費やした」とあったが、後ろから25ページくらいのところでやっと上京するし、恐らくそこそこの重要人物であるだろう中島さんの主な活躍は最後の3ページでしかない。優しくなった彼が何を思って、今後どうしていきたいのかも読みたかった。どこかで「いろんな地域で自分の銅像を建てたい」と彼が言っていたの、学校建てるのかぁ〜と勝手に解釈していましたが、今色々やりたいことがあって、と言ってお金を貯めたり、会社も作ったとかで、次の目標に向けて発進されている感満載なので、ライトハートなコメディタッチの次回作に期待したいです。まぁ、書かれなくてもそわそわ見守らせて欲しく、末永く応援させてください。「むき出し」書いてくれてありがとうございました🤲✨

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