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ブックレビュー

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読んだ本の感想を書いています。読む本を探すときなどの参考にしていただければと思います。
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2022年12月の記事一覧

最近、本を読めていますか?【『本を読めなくなった人のための読書論』 読書メモ】

なぜ読んだ?最近、あまり本が読めていない。研究や仕事に関する本・論文を必要に駆られて読むことはある。しかしその読みは苦しく、逃げ出してしまうことが多々ある。 趣味を仕事にしたら楽しくなくなるとはよく言ったもので、仕事で「読む」をするようになると、不思議と趣味での「読む」がなかなかできなくなる。 そんな葛藤を抱えながら、久々に1人で図書館をさまよう時間を取った。終わらせなければならない課題を抱えて図書館に来たものの、心が浮いたので机には座らなかった。研究で使う理系チックなコーナ

反省してない?根本的な認知能力を支援する必要がある?【『ケーキの切れない非行少年たち』読書メモ】

基本情報タイトル:ケーキの切れない非行少年たち (新潮新書) 著者:宮口幸治 なぜ読んだ?最近人気になっており、かつ今まで触れてこなかった教育分野の新書ということで読んでみた。 感想「“反省させること”以前に、そもそもの見る力・聞く力といった認知能力や、感情統制力や対人スキルといった根本的能力に問題がないかを確かめ、そこを支援しなければならない」という内容が印象的だった。 一般化すると、 自分にとって当たり前であることが当たり前でない人もいるのかもしれないと、そもそもの

名著の抽象的な「知恵」を現実に落としこむ【『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』読書メモ】

基本情報タイトル:もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら 著者:岩崎夏海 なぜ読んだ?コロナ禍の2020年にて、「読んでいなかった過去のベストセラーを読んでみようキャンペーン」を行なった時に読んだ。 感想総論第三者視点で叙事的に書いてる小説。名著に書いてある抽象度の高い「知恵」を現実に落とし込んでみよう!タイプの本。 読書メモ・企業の目的と使命を定義するためには顧客と市場の観点から見ないといかん。 ・顧客にとっての現実、欲求、価値を探るマ

生命倫理の形成は技術発展に追いついていない?【読書メモ『はじめて学ぶ生命倫理』】

なぜ読んだ?大学の授業で「死生学」を学んだことと、生命系の研究に携わっていることから、生命倫理学に入門したくなったため。 また、ユヴァル・ノア・ハラリ『ホモ・デウス』を読み、人類が死を克服したらどうなるのだろうと考えたため。 基本情報タイトル:はじめて学ぶ生命倫理: 「いのち」は誰が決めるのか (ちくまプリマー新書) 著者:小林亜津子 感想総論人類が生命を操作しうる技術が高まりすぎて、問題がたくさん生まれている。倫理形成が技術発展に追いついていない時代である。 ユヴァル