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7 身分制の廃止

第7回目の授業では,明治政府により身分制度の解体がおこなわれいわゆる四民平等の世になったこと,徴兵令が公布されたこと,武士の経済的特権が廃止されたことを授業の大枠として扱いました。四民平等,徴兵令,秩禄処分と別々の出来事のように感じることですが,これらを結びつけて考えることもできるのです。

本時の問いは「士族の特権はどのようにはいしされたのか。」でしたね。

四民平等~身分制の解体はなぜ必要か?~

明治期には漢字四文字の標語のようなものがたくさん教科書に登場します。明治期の国家目標は「万国対峙」「不羈独立」でした。教科書には登場しない言葉ですが,列強と対等に渡り合える国になることを目標としたと押さえておきましょう。その目標を実現する手段として「富国強兵」「殖産興業」「文明開化」などが唱えられたのです。では,具体的に何をしたのかを見ていけば,この単元全体の問いである「新政府の目指した近代国家とはどのようなものだったのか。」もみえてくることでしょう。
具体的な政策として最初にあげるのが,「国民」をつくり出すためにおこなわれた身分制の解体です。「国民」という言葉にも注意が必要だという話をしましたね。なので今回はカギカッコ付きにしておきます。授業のなかでは教科書や資料集を使って,平等がどの程度実現していたのかということを考えてもらいました。そこで考えたことをあわせてみると,教科書で「これらの改革は身分制を解体し,男性に関する限り,同じ権利と義務をもつ国民をつくり出した」と説明されている意味もわかることでしょう。

徴兵令~国家を守るという仕事を平民にも広げた~

1873年に徴兵令が公布され,満20歳以上の男性すべてに兵役の義務が課されます。「男性に関する限り,同じ権利と義務をもつ国民」というのはこのようなところにあらわれます。そのことを徴兵告諭のなかの「均シク皇国一般ノ民ニシテ国ニ報スルノ道モ固ヨリ其別ナカルヘシ」という言葉から考えました。

秩禄処分~明治政府は士族の特権を廃止した~

士族は江戸時代,武芸をもって軍事・警察の役割を持ち領地を支配して年貢を受け取る特権的な身分でした。その収入は明治になると家禄として引き継がれます。家禄は働かなくても政府から支給されました。しかし,明治になると軍事・警察は士族だけがなるものではなく,男性に限りますが国民のだれもがなることができるようになります。ということは,士族が政府から家禄を受け取ることは,「同じ権利と義務をもつ国民」という考えから言うと士族のみを特別扱いすることになり,それは廃止されなければいけないものです。それだけでなく教科書では「近代化のためにさまざまな事業を計画した政府にとって,大きな無駄であった」という意味についても資料集から考えました。

四民平等,徴兵令,秩禄処分を結びつけて考えることはできましたか。

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