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大学入学共通テスト(歴史)

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大学入学共通テスト(日本史・世界史)に関する解説や感想などの記事を集めます。
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記事一覧

共通テスト2023年日本史B撰銭令の問題

6月30日、大学入試センターから令和5年度大学入学共通テスト問題評価・分析委員会報告書が発表されました。今年度は、設問ごとの正答率のデータも公開されています。 その中で特に目を引いたのが、第3問中世史の問3撰銭令に関する問題です。正答率が9%とものすごく低い。そして、この問題に対する評価と意見に違和感を感じたので、ここで記事にしようと思いました。 どのような問題だったのか どのような問題だったのかというと、1500年、室町幕府が京都で発令した撰銭令(史料1)と、1485

2022年大学入学共通テスト日本史B解説その2

第3問 中世の海と人々との関わり歴史に関する問題問1(問題番号12)中世の海と人々との関わりについて述べた文の正誤を判定する問題。 この問題も問題文(生徒と先生の会話)のなかにヒントがあります。 ①については以下のようにアジアやヨーロッパ諸国との交易によって、新しい製品や技術がもたらされたことがわかります。ですから正文と判断できます。 ②については、次の先生の発言から戦争が新しい道具・技術の開発や導入を促したことがわかりますので、正文と判断できます。 ③については、次

2022年大学入学共通テスト日本史B解説その1

2022年2月16日に修正しました。 共通テストを受験したみなさん、おつかれさまでした。次は2次試験や個別入試に向けた準備ですね。高校2年生のみなさん、共通テストまであと1年です。1年後にどのような問題と格闘することになるのか、今のうちに知っておくといいのではないでしょうか?今回は私なりに2022年の共通テストを解説します。 第1問 高校生の会話文からの出題日本史を勉強していて、確かに思うだろう人物名の読み方の違いに関する内容。小野妹子は「おのの/いもこ」、北条政子は「ほ

2021年大学入学共通テスト日本史B第2日程の解説

1月30日に行われた日本史B第2日程の解説です。来年共通テストを受験する人は2年目なのに2回分の過去問演習ができますね。第2日程も2020年のセンター試験と比べると,資料の読み取り問題や読み取りと内容や時期判断を組合せた問題の比率が高くなっています。 資料を読み取る読解力を問う問題が増えたことで,「まるで国語」という感想を持つ人がいます。ただ,同じ読み取るでも,歴史の資料を読むときには,歴史の知識をもとに読むことになります。 例えば1543年,種子島に漂着した中国船に乗った

新しく始まった大学共通テスト 世界史 Vol.3 内容の感想

大学共通テストとセンター試験との違いについてはこちら↓ 大学共通テスト世界史Bの出題傾向についてはこちら↓ 問題を見て疫病(ペスト)の流行を扱ったボッカチオの『デカメロン』や、歴史資料の改ざんを扱った小説『1984』が題材となり、現代の混迷する社会情勢を反映した問題作成となっていました。 題材の選び方には問題作成者の方々の様々な思いを感じることができ、とても興味深く思いました! <センター試験と同じところ> ・全時代、全ジャンルがまんべんなくでた ・近代史が多かったが

2021年大学入学共通テスト日本史Bの解説

Classiの校内グループにも配信しておきましたが,こちらの方にも大学入学共通テスト日本史B(第1日程)の解答・解説を置いておきます。 大学入試改革としてこれまでの大学入試センター試験から大学入学共通テストへと名前が変わりました。一昨年の11月模試から共通テスト試行調査を意識して日本史は初見の史資料を読み解き答える形式の問題ばかりとなり難易度が上がりました。これまでの勉強の仕方では太刀打ちできずみなさん苦しんでいました。日本史の校内の平均点が世界史や地理よりも低いなんてこれ