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Roland System 700のはなし(1)

 私の勤務している学校の一角に,昔,コンピュータミュージックの実習で使われていたマシンが展示されています。その一つにRoland System 700があります。1976年に発売された国産初の大型モジュラー・シンセサイザーです。フルセットで発売当時240万円したというものです。
【Vol.200】Roland SYSTEM-700 ~国産初の大型モジュラー・シンセサイザー[1976年] - キーボーディスト、脱初心者を目指す (kblovers.jp)

 うちの学校のSystem700は,とりあえず,ただ展示しているだけなのですが,私はなんとか動かして音を聞いてみたいと思っておりました。しかしパッチケーブル数本以外ケーブルは見当たらないのであきらめかけていました。

 ところが,最近になって,System700を載せている折り畳み式の机の下の棚にSystem700の前面を覆うカバーがあり,その中にバスケーブルが見つかりました。さらにSystem700の英文マニュアルのpdfをネットで見つけました。それで電源コードは背面の小さなふたで隠されたスペースに収納されているということがわかりました。

やったぁ,これで音が出せる!!

…と思いきや,キーボードとメインモジュールをつなぐケーブルがありません。マニュアルで見ると,キーボードにつなぐのはDIN6ピンコネクタで,これの配線図はありましたが,これにつなげる本体側の端子のピン配置がわからないのです。

 ローランドにしれっと「御社の昔の製品の部品ありませんか?古い製品なんですけど…」と聞いてみようと思いましたが,問い合わせも面倒そうです。どうしようかと悩んでいたら,数年前にうちの学校でコンサートをしたときに,その音響エンジニアさんにSystem700を見せたところ,「これはローランド本社にあるのよりきれいだ。」とおっしゃっていたことを思い出しました。この方は私のfacebook友達として登録されていたのでメッセージを出したところ,ありがたいことにすぐ返事があり,「DIN6ピンだと思うが配線がわからない。大阪のREONというシンセサイザーを作っている会社の人ならわかるかもしれない」とのこと。そこで,REONの問い合わせフォームからおそるおそるSystem700のキーボードケーブルについて尋ねてみたのでした。

 ウェブ担当の方は私の突然の,そしておそらくはお金にならないSystem700のキーボードケーブルの質問に丁寧に答えてくださいました。DIN6ピンのキーボード側の端子の配線を示して,本体の端子のGND,+15V,-15Vがこのピンと同じ配置ならストレート結線であり,それならケーブルはごく簡単に手に入る,とのことです。実際,DIN6ピンケーブルはアマゾンで簡単に検索でき,1000円ほどで手に入ることがわかりました。自分のところでケーブルを買って少しマージンを取ってもよいだろうに,なんて親切な人なんでしょう!REON最高!
REON | シンセサイザー (reon-music.co.jp)

 さて,デジタル・マルチテスターを持って,System700メインモジュールの裏のキーボード端子にプローブを当てたところ,GNDと回路図と同じ位置のピンの間は導通しています。そして,電源を入れて+15V/-15Vのチェックをしようと思い,電源スイッチを探したところ,なんと電源スイッチの表面がなくなってました。「電源スイッチの表面」と書かれてもよくわからないかと思います。部品名がわかりませんが,我々が普通「スイッチ」と呼んで押すアレです。

POWERの下,電源スイッチの表面がない!

ただ,正味のスイッチはまだ生きており,指でごりっとなぞるとなんとか電源が投入されました。ふぅ~。そして,+15V/-15Vのピン位置はあっています!
 REONのウェブ担当さんにピン配置は同じだと伝えると,「ストレートケーブルでよさそうですね。でもケーブルを指す前にもう一度念押しでケーブルのピンのところで電圧を確認した方がよいですよ」とアドバイスしてくれました。「はい,もちろん15V/-15Vなどを間違えると一瞬にしてアウトになりそうですね。確認します。ありがとうございます。」

 私はすぐさまDIN6ピンケーブルをアマゾンで購入したのでした。
(つづく)

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