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自治体システム統一はどこから来た

自治体システム標準化の議論と並行して、一元化とか統一とか言った話がよく聞かれる。この話はどこから来たのか。大元は「地方制度調査会」の議論じゃないかという話。

標準化に比べて一元化とか統一とか言われても、どのような状態を目指しているのか曖昧で定義をはっきりしてほしい。その辺の話は「自治体システム一元化がダメとは言ってません」でも書いた。
それにしても、標準化の議論は前からあったが、どこから統一という話になったのか。

よく知られているのが「マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ」(いわゆるマイナンバーWG)での議論。
令和2年6月23日の第1回に提示された「ワーキンググループ検討課題」において、

国と地方を通じたデジタル基盤の構築(情報システムの統一・標準化、クラウド活用の促進等)

が検討課題として明記された。標準化と同列に統一が掲げられている。
マイナンバーWGは特別定額給付金問題などを受け、自治体個々の取り組みでは限界がある事態への対応という課題を背負っており、これが議題に上がることは当然と言えるだろう。

そして、これを受けてか、令和2年7月8日開催の「令和2年第10回経済財政諮問会議」の「経済財政運営と改革の基本方針 2020(仮称)(原案)」において、

さらに、関係府省庁は、マイナンバー制度及び国・地方を通じたデジタル基盤の構築に向け、地方自治体の業務システムの早急な統一・標準化を含め、抜本的な改善を図るため、年内に工程を具体化するとともに、できるものから実行に移していく。

と、「統一・標準化」となっている。

しかし、もっと前の資料を見てみると、令和元年12月13日の「第32次地方制度調査会第28回専門小委員会」の資料「行政のデジタル化について」ですでに、

こうした目的に応じて、デジタル化に関する地域の枠を越えた連携の中でも、数団体間の連携から、標準化、さらには統一化まで、標準化等が求められる程度は異なりうると言えるのではないか。

と、統一化まで含めて議論すべきという話が出てきてる。
この話はその後、
第32次地方制度調査会第31回専門小委員会

地方公共団体におけるデジタル化に関して地域の枠を越えた連携を進める目的としては、住民の利便性向上、行政運営の効率化のほか、相互運用性の確保、小規模団体等の支援、先進的な取組の横展開、更にはセキュリティの担保等が考えられ、これらの目的に応じて、数団体間の連携から、標準化、さらには統一化まで、標準化等が求められる程度は異なりうるのではないか。
そのため、基幹系システムについては、システムの機能要件やシステムで作成する様式等について、法令に根拠を持つ標準を設け、原則として当該標準に則って各事業者が開発したシステムを地方公共団体が利用するようにすることが考えられるのではないか。

第32次地方制度調査会第36回専門小委員会

地方公共団体におけるデジタル化に関して地域の枠を越えた連携を進める目的と しては、住民の利便性向上、行政運営の効率化のほか、相互運用性の確保、小規模団体等の支援、先進的な取組の横展開、更にはセキュリティの担保等が考えられ、これらの目的に応じて、数団体間の連携から、標準化、さらには統一化まで、標準化等が求められる程度は異なりうる。
そのため、基幹系システムについては、システムの機能要件やシステムに関係する様式等について、法令に根拠を持つ標準を設け、各事業者は当該標準に則ったシステムを開発して全国的に利用可能な形で提供することとし、地方公共団体は原則としてこれらの標準準拠システムのいずれかを利用するようにすることが考えられるのではないか。

と進む。そして、最終的な「2040 年頃から逆算し顕在化する諸課題に対応するために必要な地方行政体制のあり方等に関する答申」では

したがって、地方公共団体の事務の標準化・統一化の必要性や地方公共団体の創意工夫が期待される程度に応じて、国は適切な手法を採るべきである。住民基本台帳や税務など、多くの法定事務におけるデジタル化は、地方公共団体が創意工夫を発揮する余地が比較的小さく、標準化等の必要性が高いため、地方公共団体の情報システムや事務処理の実態を踏まえながら、一定の拘束力のある手法で国が関わることが適当と考えられる。
そこで、基幹系システムについては、個々の地方公共団体でのカスタマイズや共同利用 に関する団体間の調整を原則不要とするとともに、ベンダロックインを防ぎ、事業者間のシステム更改を円滑にするため、システムの機能要件やシステムに関係する様式等につい て、法令に根拠を持つ標準を設け、各事業者は当該標準に則ったシステムを開発して全国的に利用可能な形で提供することとし、地方公共団体は原則としてこれらの標準準拠システムのいずれかを利用することとすべきである。

となる。
ここでも「統一化」の定義が曖昧でなんともいえないが、基幹系システムについては統一化ではなく標準化を選ぶと言っているようにも見える。

システムの標準化や統一化は地方自治のありようにも影響する大きな問題である。地方制度調査会が本件に言及するのは当然だろう。ここでの議論がもう少し標準化、統一化の定義や、選択結果について具体的に説明されていれば今の見通しももう少しはっきりしていたかも知れない。








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