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マイナンバーを理解してみよう

今更ですが、マイナンバーとはなんなのか目的ベースで理解してみたいと思います。

身元確認結果

身元確認というのがあります。通常は「生年月日いついつで、どこそこに在住の誰それと確定すること」とざっくり理解して良いと思います。もちろん実在しなければなりません。
ここで問題なのが、”どこそこ”つまり住所は変化するということ。もちろん氏名だって変わることはある。では、それらが変わったら身元確認はやりなおしなのか?まあ普通やり直しでしょう。
しかしこれは面倒です。もっと安定した何か、たとえば「認識番号○○番が確定すること」であればやりなおしはなくなります。
これがマイナンバーです。一生涯、ある意味亡くなった後も変わらない番号を身元確認結果として確定させる。

同一人物であること

身元確認が「マイナバーを確定させること」となると、異なる組織での身元確認結果を”同一人物のもの”と名寄せするのが簡単になります。結果が共通なのだから当然です。
異なる組織で、いわば空間軸で、同一人物性が確保できれば、情報をやり取りしたり、共有したりといったことがやりやすくなりますし、確実性が上がります。
これがマイナンバーの二つ目の目的。

もう一つの”同一人物であること”

時間軸で見てみましょう。昔知っていたこの人と、今知っているこの人は同一人物なのか。
身元確認が住所のような時間軸で不安定な要素に依存すると、ここがややこしい。住所が変わるたびに身元確認はやり直し。その都度都度の身元確認結果は正しいのでしょうけど、それを時系列に同一人物であると管理するのが手間です。
ここで不変のマイナンバーを身元確認結果とすれば、時間軸での同一人物性が確保できます。住所も氏名もマイナンバーに紐づく属性情報として整理できてずっとシンプルになります。これがマイナンバーの目的三つ目です。

名乗り

ところで、身元確認を受けるには「誰それである」と名乗り出なければなりません。
アナログな世界観だと、たとえば住所、氏名で身元確認なら文字通り「どこそこの誰それである」と名乗らなければなりません。しかし、デジタルな常識感では事情は異なり、「このサイトにこのアクセストークンで要求してもらえば名前と住所がとれます」でよい。必ずしも身元確認結果そのものを名乗る必要はありません。
その意味でマイナンバーは名乗りのツールではありません。デジタルな名乗り手段が未確定なアナログ運用のためにマイナンバーカードにマイナンバーは記載されていますが、デジタル社会では不要になっていくでしょう。

身元確認結果の永続性

身元確認結果が住所のような不安定なものだと面倒であることは上述の通りです。では逆に、マイナンバーのように身元確認結果を永続性あるものとすることは望むべきことなのでしょうか。
確かにいろいろな処理がシンプルになります。時間軸に永続であることが必要なものもあるかもしれません。
しかし、プライバシーやアイデンティティーといったことを考えると、身元確認結果が永続的であることは必ずしも正義ではないと思います。
身元確認とはなんらかの目的を持ってなされるはずです。そして、その目的自体は永続的ではありません。であれば、身元確認結果も永続的ではなくすべきです。

一定の範囲で一定の期間で身元確認結果が持続すればよい。ぞれぞれの範囲で異なる番号が身元確認結果となっていればよい。まれに、範囲をまたがって同一人物である確認が必要なら、異なる番号を紐づける仕組みが準備されていればよい(これがいわゆるセクトラルモデルです)。
範囲や期間の広さは身元確認の必要性や利便性とプライバシー尊重のトレードオフとして決まっていくのでしょう。
ただ、少なくとも闇雲に永続にすべきものではないと思っています。

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