「ヒーローとヒロイン、私」
月一で京都に通う 京阪に乗れば始まるプロローグは
十五分遅れてヒーロー参上し本を閉じれば劇が始まる
ヒーローは優柔不断パフェ一つ選べないままおやつの時間
二番目でいいから私、続かないセリフの前に笑いあってる
ヒロインは怒った顔も美しい空気も光もひざまづかせる
微笑んで貰ってくれたヒロインの手の甲にいる毛糸の子猫
振り向けば二人がいない舞台上 照明係は仕事をやめる
颯爽と現れた敵 門限が私と彼らを引き離しにくる
ヒーローとヒロイン、私 三人の娘が踊る祇園四条で
約束はしなくてもいいエピローグ揺れる電車で止まらぬ通知
#tanka #短歌