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その他の不思議な小説

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#仕事

【短編】 世界を救うというのは

 朝起きると、背中に違和感があって大きなコブのようなものが膨らんでいた。  部屋の鏡で見たら、コブには悪魔の顔や体のような形が浮き出ている。  今日はもう仕事に行けないなと思って会社に電話をしたあと、私はとりあえず冷蔵庫を開けて牛乳を飲み、ベランダの鉢植えに水をやった。 「うううっぱあ……。やっと出られたわ。ここはどこなの?」  私の背中を切り裂いて出てきた魔法少女のような少女は、血まみれになりながらそう言った。 「あ、大量出血した人が倒れてる」  私のことだ。 「ごめんなさ

【短編】 世界的な・・・

 よく物を失くす女性の依頼だった。 「いつ何を失くしたのかを確認するために、あたしを監視して欲しいのです」  まあ、失くしたものを探すのは探偵の仕事だけど、これから失くすかもしれないものについてはちょっと……。 「でも、できるだけあたしが気にならないような形でやって欲しいから、やはり尾行もできる探偵さんが適任かと」  私は断ろうと思ったが、他に仕事も無かったのでとりあえず引き受けることにした。    次の日の早朝、私は依頼主の女性の部屋を訪ねた。  女性はこれから外出するとい

【短編】 一文字一円の小説

「あなたの小説を、一文字一円で買取します」という広告だった。 「誰にも読んでもらえない小説があるなら、思い切ってお金に変えましょう! 今なら、どんな素人が書いた、どんなにつまらない小説でも、一文字一円で高価買取を実施中!」  どんなにつまらない小説、と言われるのは不愉快だし、作品の著作権は業者側に渡ってしまうという条件付きだが、どうせ誰も読まない小説なら売ってもいい気がした。  しかし、信頼できる業者かどうかよく分からないので、とりあえず、昔書いたぜんぜん面白くない千文字の小