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とくに何もすることのない午後、僕は真っ白なCDから流れる音楽を日が暮れるまで聴く。 真っ白なCDは、広い体育館の中にディスク剥き出しのままで無数に積みあがっており、どれも題名や音楽家の名前は書かれていない。 体育館は、廃校になった学校の校舎とセットになっているものをゼロ円で買った。 周辺に誰も住んでいないから不動産としての価値が低く、無数にあるCDという廃棄物の処理に困ってゼロ円という価格になったようだ。 学校を買ってから三年後、校内を歩いていると、廊下に髪がボ
秘密クラブに入るためには、自分の秘密を告白しなければならない。 「このクラブは、学校の部活動として正式に認められた活動です。あなたの秘密は部員に共有されますが、外部に漏れることは決してありません」 私は、そんなことが書かれた秘密クラブのチラシを手にしながら、旧校舎の片隅にある古びた部室のドアを叩いた。 すると、いきなりドアが開いて、頭から血を流している美しい男子生徒が現れた。 「今、戦争中なんだけど、入部希望の女の子?」 私は、反射的にドアを閉めようとしたが、その瞬間
世の中には、私を殺そうとする勢力が存在する。 それでも私が生きていられるのは、殺す勢力より、私を守る勢力の方が優勢だからだ。 「あなたは何も気にしなくて大丈夫」と、守る勢力の人は笑顔で私に言う。「あなたはただ、普通の学校生活を楽しめばいいのよ」 同じクラスの中にも、私を殺す勢力の人が何人かいるみたいだが、私はそれが誰なのか知らない。しかし、急に転校などでクラスから人がいなくなることがあるので、もしかしたら、勢力争いで誰かが犠牲になってしまったのでは……、と考えてしまう