【小説】 なんとかなる(仮)第1話
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一年ぶりに冷蔵庫を開いたら、中に道ができていた。
電源はつけたままなので、中に入るとひんやりしている。
しかし、薄暗い道をしばらく進むと夏のように暑くなっていき、その道沿いに商店が並んでいるのが見えてきた。
通りには人影がなく、店の看板やネオンだけがやけに主張してくる。
私は、夏のような暑さや主張の強い看板にうんざりしてきたので、「ビール」と書いてある店にひとまず入ることにした。
「いらっしゃい」
そう言ったのは、服を着た、人間ぐらいの背のあるウサギだった。