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私はむかし、子どもでした。 体が小さくて、いつも大人を見上げていましたし、よく転んで怪我をしたり、泣いたりしました。 王子様と出会ったのは、小学校の鉄棒を、なんとなく飛び越えようと思ったら鉄棒に太ももを激しくぶつけて、地面でのたうち回っているときでした。 「鉄棒は、手でつかんで体を回したりするものなのに、君はなぜ飛び越えようとしたんだい?」 王子様は、無邪気にそう質問しました。 「今は太ももが痛くて死にそうなので、質問は後にして下さい」 私は、そう答えるだけで精一杯
「ねえ、なんかここお酒臭いんだけど」 仕事の都合で女の子を預かることになったのだが、彼女はいろいろと文句が多い。 「それにさ、服とか食器とか本とかが絶望的に散らかっているんだけど、泥棒でも入ったの?」 この宇宙船は、いつも俺一人だからとくに気にしていなかった……。 「まずは掃除をして、人間が住めるようにしましょ」 彼女の口ぶりはまるで母親みたいで参ったが、二人で三時間かけて掃除をしたら、船内が見違えるように綺麗になった。 さらに彼女は、花を活けた花瓶を置いたり、ぬいぐ
「こいつ、噛みついたりはしないかな」 俺は、子どもを買うのは初めてだったので、売人にいろいろと質問をした。 「別に、しっぽや角が生えてても普通の子どもと同じですし、おとなしいもんですよ」 でもこいつ、俺のことをずっと睨んでいるんだが。 「ああ、睨むのはいつものことでして」 俺は、値段が安かったのでその子どもを買い、首に繋がれた縄を引いて家に連れ帰った。 家に着いて気づいたのだが、子どもは、俺が話かけてもウーとかアーとかしか言えない。 これじゃあどうしようもないなと
その駅にたどり着くまでに、すでに三十年が過ぎた。 大都市にあるような大きくて近代的な駅だったが、ホームに係員が一人立っているだけで、他の乗客は見当たらない。 「ペロ行きは、このホームでいいのかな?」 心配になって私が駅の係員にそうたずねると、彼は大きな溜息をついた。 「ペロ行きは三年に一回しか運行していませんし、それは昨日この駅を通過したので、次は三年後になりますが」 ああそうですか、と私は力なく言って駅を出たが、周りにはのどかな農村が広がっているだけだった。 あと