【短編】 恋と妖精とスチールウール
僕は恋に落ちた。
なぜなら彼女の足が地面から離れて、ふわふわと浮かんでいたから。
「あの、話があるんだけど」
僕はそう話しかけるのだけど、彼女はいつもふわふわ漂っているので捕まえるのが大変なのだ。
「ちょっと、足をつかむのはやめてよ!」
「ごめん。でも君はいつもふわふわしてるし、同じクラスにいてもまとに話すことができないから」
僕が手を放すと、彼女は不機嫌な顔でふわふわ浮かびながら溜息をついた。
「わたしは妖精の血を引いているから、いつもふわふわしているしかないの」