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片桐チハル
2017年3月20日 18:20
毎晩のように、好きだったひとの夢をみる。湾岸道路を、少し離れて並んで歩く。歩道を行く自転車が、わたしたちのあいだをすり抜けていく。好きだったひとがすぐ横にいるのに、その顔を直視することができずに、わたしは彼の足元で跳ねるスニーカーの紐ばかり眺めている。彼がわたしを「春の朝みたいなひとだ」とたとえたことがあった。「あなたのそばにいると、あたたかくて眠たくなる」言葉のとおり、彼はよく眠