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いよいよ動かなければね (ピアノじまい②)

初めて実家売却の話を聞いたのは今年のゴールデンウィークに入る時だった。
弟家族が遊びに来て、売却のことを話し始めた。

実家のことは弟に任せてあった。一時貸したりもしていたようだけれど、今は空き家になっていた。
もうだいぶ築も古くて、あちこち不具合も出ており、維持費などを考えれば手放すのが妥当なのではという話だった。

いつかは、と思っていたことだったし、そもそも弟の持ち物。好きにしてもらって構わない。何の異論もなかった。

私が考えなければならないのはその先。
母が亡くなって、実家の物を片付ける際に、どうしても処分できなかった物を一部屋にまとめてあった。
それをいよいよ空にしなければならない。
問題なのは大物、昔の嫁入り道具のような大きな箪笥と、ピアノ。そう、このピアノである。
これらは特に、どうするのかを早めに考えなければということでその場の話は終わった。

それから約ひと月半。
もう売れそうだという連絡があった。
正直、こんなに早く事が進むとは思っておらず、何も手付かずだった。
完全に油断していた。

しっかりものの義妹に促されるように、
せっせとピアノの行き先について調べ始める。

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