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母の日。ロールケーキ。

  夕方、スーパーへ買い物に出た。来週ある娘の遠足のための買い出し、夕飯の買い出し。夕飯はパックに入った焼き鳥。タレ。夫はこれをあまり好きじゃないけど(嫌いというわけでもない)、今日は母の日なので私の好物を食べさせてもらうぜ!と決めていた。買い物を手早く済ませ――とはいえ、娘のお菓子選びにかなり時間がかかったが――レジに並んだ。店員さんは馴染みの方だった。向こうが私を認識しているかは知らない。いつも通り笑顔でレジを打ってくれる。時々雑談もする。今日は会計後、ロールケーキを差し出してくれた。
「母の日でーす」 
  毎年恒例だ。このスーパーでは母の日にロールケーキをくれる。両手でしっかり受けとった。
「ありがとうございます」
「今年は夕方まで残っててよかった」
「えー、じゃあラッキーでした」
  そんな会話をした。このスーパーの経営者がどういう気持ちでこのプレゼントを企画してくれているのか、本当のところは分からない。だけど私は毎年このロールケーキに救われている。この日、スーパーへ出かけると多くの男の人が子供を連れて歩いている。奥さん、つまりこどもの「お母さん」のために夕飯を作ったりプレゼントを用意したりするのだろう。勝手な憶測だけど。しかし我が家ではそういうことはない。なんかしてくれよと夫に言ったこともあるが、あなたは俺のお母さんじゃないので……とド正論を返されてしまった。こどもに強制するのは絶対おかしいしなあ。と思う。だけど他人が羨ましくなってしまう。本当に厄介だ、こういうイベントって。ただの日曜日なのに。私のメンタルがおかしいせいなのだけど。そんなわけで、私はこのスーパーのロールケーキから「いつも頑張ってるね!お母さん!」というメッセージを勝手に受け取っている。そして助かっている、勝手に。ロールケーキは明日家族みんなで食べます。夕飯に食べた焼き鳥も美味しかった。

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