見出し画像

近所のスーパーでは商品の価格が税抜で表示されているのですが、税込で表示しなければいけないのでは?

今回の質問のようなケースでは、消費税法と景品表示法によるルールが関係します。

結論としては、どちらの法律によっても、税込価格の表示が義務付けられていると考えることができます。

消費税法

(価格の表示)
第六十三条 事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)は、不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等(第七条第一項、第八条第一項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。以下この条において同じ。)を行う場合(専ら他の事業者に課税資産の譲渡等を行う場合を除く。)において、あらかじめ課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の価格を表示するときは、当該資産又は役務に係る消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を含めた価格を表示しなければならない。

「消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を含めた価格を表示しなければならない。」と明確に規定しています。

ただし、この規定に違反しても消費税法上は罰則はありません。

景品表示法

(不当な表示の禁止)
第五条 
事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
 略
 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
 略

税込価格を表示しないことによって、不当に顧客を誘引するなどとしてこの規定に違反すると判断された場合、内閣総理大臣による措置命令の対象になります(7条)。

そして、その命令にも違反すると、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科せられます。悪質だとその両方ということもあり得ます(26条)。

消費者の立場でお困りの場合には、消費者庁の被疑情報提供フォーム(https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/contact/disobey_form/)などを利用したり、消費者庁や公正取引委員会の担当部署に電話で相談することもできます。

まとめ

以上の通り、税込表示は法的な義務です。

もし未対応のお店であれば、手間かお金をかければ改善することができます。

その手間やお金を惜しむということは、価格表示についてだけでなく、他の部分(商品の品質、賞味期限の管理、店舗の衛生環境、従業員の給料、等々)でも自社の利益しか考えていないのではないかということが容易に想像できてしまいます。

消費者の立場からすると、そういったお店での買い物は気が進みません。

法律に違反しているのは論外として、中には法的に問題なければいいのだという経営者の方もいらっしゃいます。

しかし、消費者の細かい視点まで意識できているかによって、長く愛される企業になれるのかが変わってくるように思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?