【朗読・1人読み】月がとける
※人称、言い回し、語尾変更可。
月がとける
今日も月がとける
月のように冷たい彼女が
夜になると甘くなる
気持ちよさからか
眠くなるからか
冷たい心がとけていく
欲しいものを僕にせがまないのは
サンプルを贈られたことがあるから
スキンシップを嫌がるのは
本番ばかりを求められてきたから
彼女はぽつりぽつりと語り
こんな私でごめんなさいと
何度も頭を撫でてくれる
そして大好きだよと
強く抱きしめてくれる
バカだな
僕はどんな彼女も好きなのに
彼女を冷たい月にしたのは
彼女の過去の男達だろう
僕は僕さ
だから僕はいつも通り
抱きしめながらささやく
いつもありがとうと
彼女は静かに涙を流す
でも顔は微笑んでいる
ああ
今日も月がとける