ED76の屋根上にある蒸気発生装置(SG)の煙突と整風板について
どうも、AKCです。
今回はED76の蒸気発生装置ことSGについてです。
Nゲージだと屋根上に煙突と整風板が付いたままか両方撤去されたかのどちらかなのですが、果たして実車はどうなのかを記載します。
11/14 TOMIX新製品分を追加しました
蒸気発生装置(SG)とは
そもそも蒸気発生装置(SG)とは何なのかですが、これは昔の客車では客車ごとにストーブや湯たんぽを使って暖房を使用していたのを、安全性の為に機関車から生成された水蒸気を配管を通して客車の暖房にする方式へと変更しました。ただ蒸気機関車は運転時の蒸気をそのまま使えば良いのですが、ディーゼル機関車と電気機関車ではこの手法は使えません。その為にディーゼル機関車と電気機関車に搭載されるのが蒸気発生装置(SG)です。
しかし寒冷地などでは暖房が編成の最後尾に届かなかったり、使用前や使用後の取り扱いに難儀したりと課題だらけで、12系や14系などの客車側に発電機が搭載された車両や電化による電気機関車から取り入れた電気での電気暖房が普及すると、西日本や九州の温暖な地区を除き殆どが使用されなくなった。
九州では日豊本線や鹿児島地区などでは電化後も普通列車に旧型客車が使われたこともあってか末期までSGが使われていた。
ED76はSG用の煙突と整風板が2エンド寄り屋根上に設置されているのだが、
民営化後は使用されなくなった際に行われた処置が
・煙突も整風板も残ったまま
・煙突のみ撤去で整風板は残ったまま
・両方共に撤去
の3パターン存在している。
Nゲージの種類
NゲージではKATOとTOMIXから
・国鉄時代
・JR九州機
・JR貨物更新車
が出ている。
JR貨物更新車
KATO:3013-3 ED76 0 後期形 JR貨物更新車
TOMIX:9140 JR ED76-0形電気機関車(JR貨物更新車)
JR貨物機は両社ともに更新工事を受けて最後まで残った0番台である55.59.81.83が設定されている。
55は更新後も整風板のみ残されていたが2008年頃の全検で整風板も撤去された。
59は試験塗装時代は整風板のみ残っていたが一般色に戻ったのち更新工事を受けた時点で整風板も撤去されている。
81は元はJR九州の所属で後に貨物に転属してきた。JR九州時代は煙突と整風板は残されたままだったが転属に撤去された。
83も同様にJR九州からの転属機で、JR九州時代は残っていたが転属後に撤去されている。
KATOもTOMIXも煙突と整風板が撤去された姿を再現しているので
55ならば2008年以降、59と81は更新工事後から、83は当初更新帯の形状が異なっており、2012年に通常の帯の形になってからの姿になる。
TOMIX:7191 JR ED76-1000 後期型 サッシ窓 更新車
2025年6月発売予定の1000番台の内後期型の運転台側面窓がサッシ窓になった1015以降をプロトタイプにした製品。1018.1020.1021.1022が設定されている。
案内PDFに「SGダクト、整風板が撤去された」と書いており、かつ
側面点検口が埋められた後の時代なので更新工事後の全機が該当します。
国鉄時代
国鉄時代はTOMIXが62,68,73,85 KATOが60,66,87,94を設定している。
全てJR九州に継承される車両になっている。
国鉄時代なので煙突も整風板も付いた状態が正解なのだが、
TOMIXはJR仕様と屋根パーツを共有しているが為に本来付いているはずの
煙突も整風板も無い状態になっている。
KATOは付いた状態なので問題ない。
JR九州機
JR九州機はTOMIXが69.70.91.94 KATOが65.75.77.91を設定している。
両社共にHゴムが黒になった後の時代を設定している。
TOMIXは煙突も整風板も撤去された後。
KATOはどちらも残っている姿になっている。
では実車はどうなのかというと
・65は1993年時点で黒Hゴム化されているが煙突も整風板も有る
ただし後年煙突は撤去されて整風板のみになっている。
・69は煙突は撤去されたが整風板は残存していた
・70は煙突も整風板も撤去されている
・75も1993年頃には黒Hゴム化されているがこちらは整風板のみ残存
・77も煙突は撤去で整風板は残存
・91も煙突は撤去で整風板は残存
・94も煙突と整風板が撤去されている
TOMIXの場合70か94が該当 (69と91は整風板が有る)
KATOの場合65のみ該当(他は整風板のみで煙突は無い)
ちなみにTOMIXのさよなら富士はやぶさの91号は整風板が再現されている。
[11/14追加]
TOMIXより2025年5月に発売予定の7190:ED76-0 後期型 JR九州仕様にて
SGの煙突(ダクト)が撤去された後も整風板のみ残っていた状態の仕様で製品化される事になりました。
ナンバーは66.69.87.92を設定している。
・66は下記の通り煙突は撤去されたが整風板は残存していた
・69は上記の通り煙突は撤去されたが整風板は残存していた
・87も下記の通り煙突は撤去されたが整風板は残存していた
・92も煙突は撤去されたが整風板は残存していた
ので全機が該当します。
ちなみに66.87はKATOの国鉄機、69はTOMIXの旧製品JR九州機に入っていた車番です。
以上がED76のSGの煙突と整風板の実態になります。
タイプ品である以上は多少の差異は仕方がないので気にせずにいるか、
もしくは実車同様に改造するかは各自の判断に委ねます。
ただTOMIXの国鉄機だけはちゃんと付いた状態にして欲しいものです。
おまけ
ついでに国鉄機車番がJR化後はどうなっていたかを書いておきます。
TOMIXが62,68,73,85 KATOが60,66,87,94です。
・60は煙突と整風板が残ってたが1994年に黒Hゴムになる前に廃車
・62も両方残っていたがみずほ廃止に伴い1994年に黒Hゴムになる前に廃車
・66は煙突は撤去されたが整風板は残存していた
・68も煙突は撤去されたが整風板は残存していた
・73も両方残っていたが1994年にみずほ廃止に伴い黒Hゴムになる前に廃車
・85は両方残っていたが1995年の50系客車の電車化に伴い黒Hゴムになる前に廃車
・87も煙突は撤去されたが整風板は残存していた
・94は上記の通り
ED76の黒Hゴム化は65や75のように早い段階で行われた機体もいれば余剰化により最後までされずに廃車になった機体もいます。
基本黒Hゴム化が行われた段階で煙突の方は殆ど撤去されているようです。