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「中合福島店」が営業終了

僕は東京生まれで都立高校出身。

大学は福島県立医科大学を卒業した。卒業後、東京に戻ってきた。

当時の共通一次の数学が奇問で、アスタリスクを多発する設問で行を間違えてしまった。二次試験を受けられるところを受験させていただいて救ってもらった。感謝しきれないぐらい感謝している。

在学中は、大きなことがあった。

おいしい中華料理屋さんが国道の向こう側に合った古い校舎から、何もない光るガ丘という山の上に大学が引っ越した。

駅前には、辰巳屋というほてると中合というデパートがあった。
ミスタードーナツは夜遅くまでやっていて、駅前に続く商店街がまっさらな石畳に新しく整備されておしゃれになった。

おいしいパスタ屋さんやロートレックというおしゃれなカフェバーもあった。きれいに街が整備されてたくさんの人でにぎわっていた。

勉強の後やクラブ活動の後に、仲間ででかけた。
先輩にたくさん連れて行ってもらった。ドーナツやで試験勉強をした。

東京に出て必死に働いた。新聞のコ医療ラムの仕事をいただいて書いていた。

東北大震災が起きた。
心配だったし、応援するコラムを書くために何回か福島に取材に行った。

思い出の場所は、駅前にもかかわらず駐車場や空き地になっていた。
駅前に人影はすくなかった。

そして、中合(なかごう)が閉店するという記事を見た。
中合のレストランでは、新任の山本教授先生とお食事をした。
神経内科ができたばかりだった。ダンディでかっこよかったし、人間が宿る脳を扱う総合内科の分野に刮目させていただいた。

僕は、福島で医師の幼虫だった。
今でも、蝶になれずサナギのままだ。

サナギの殻の中で、幼虫のころに見た風景を思い出している。
ずっと蝶にならないサナギなのかもしれない。

サナギが蝶になる前段階というのも、固定概念に過ぎないのかもしれない。

半人前のままだ。

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