詩集『まばたぐ』について

赤澤玉奈の私家版第一詩集『まばたぐ』を2023年11月11日、文フリにて刊行しました。2021年10月〜2023年9月までに書いた、恋愛と、自身の体に起こった体調不良について作った詩が載っています。
現代詩手帖、ユリイカ入選・選外佳作作品複数掲載。
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・吉祥寺百年さま(http://100hyakunen.thebase.in/items/80328281)
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『まばたぐ』についてのステートメント

「『どういふわけで水が恐ろしい?』『どういふ工合に水が恐ろしい?』これらの心理は我々にとっては只々不可思議千万のものといふの外はない。けれどもあの患者にとってはそれがなによりも真実な事実なのである。そして此の場合に若しその患者自身が……何等かの必要に迫られて……この苦しい実感を傍人に向かって説明しようと試みるならば患者自身はどんな手段をとるべきであらう。おそらくはどのやうな言葉の説明を以てしても、この奇異な感情を表現することはできないであらう。」「けれども、若し彼に詩人としての才能があつたら、もちろん彼は詩を作るにちがひない。詩は人間の言葉で説明することの出来ないものまでも説明する。詩は言葉以上の言葉である。」ー萩原朔太郎『月に吠える』



二年ほど統合失調症の症状があった。

2022年6月より症状が悪化し、それから今まで幻聴が聞こえるようになる。他者音声性の思考聴取で、考えていることが読み上げられ、それが周囲に居る人に聞こえているのではないかと考えるようになった。当時は自分の体に振り回されていて、体の操作性を失って離人症のような状態にあり、頭ではずっと音がうるさくそれに答えて話しているのに現実の自分は対して何も話さずに黙って抜け殻のような体の状態にあった。その操作性が取れない状態を遡行的に詩にすることによって、主導権を私へと取りもどす感覚を持ち、詩作品を作り始めた。当事者研究の活動を向谷地生良は「生きる主体性を取りもどす作業」として特徴づけている。(当事者研究の研究p116)

浦河流にいうと「自分の苦労の主人公になる」という体験であり、幻覚や妄想などさまざまな不快な症状に隷属し翻弄されていた状況に、自分という人間の生きる足場を築き、生きる主体性を取りもどす作業とでも言える。

現在はほぼ寛解しているが、症状として体験したことを科学的な分類に還元されない自分に生じた症状(ノイズ)として当事者研究的に向き合い、絵と詩で表現し語りを取りもどすことを試みている。

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