3.
毎朝すぐに犬のおなかの動きを見た。
君が息をしているか確認することが日課になっていた。
よかった、よかった。
10月、自分は風邪を引き高熱を出した。
その間に寝たきりの君も駆け足で老いて行ったのだろう。
たった1週間後。君は虚ろな目をしていた。
声をかけても反応しない、大好きなバナナも口にしない。
そうなんだね。頑張ったね。
珍しく家族がそろった休日。
秋祭りで外が賑やかな中、朝の散歩に出かけた
大好きなおばあちゃんにあった
友達の犬にも出会った。挨拶してくれた。
散歩帰り子供たちのお神輿が見えてきた。太鼓が聞こえる。
その時君は大きく息を吸い込んだ…のが聞こえた
大きく2.3回吸って吐いて、吸って吐いて、止まった。
にぎやかなお神輿と一緒に走り出してしまったのかもしれない。
ちゃんと家に帰れたんだろうか?はしゃぎすぎてないかい?
箱の中の君は石のようで、君ではなくなっていた。
あの日から毎晩うんと泣いて犬も触れなくなって
散歩道も無いリードを掴んで君の好きな場所で立ち止まって
いまでも寂しいけどもう大丈夫。
君の写真も見れるし話しもできる。
忘れるなんで絶対、できないけど。
時間をかけてじっくりと思い出にする。
あ、君に入院したんだよって報告した晩に病室に忍び込んだんですね。
退院した母からあの日夢に出てきたと聞いて心底びっくりしたよ。
ちゃんと家に帰ってきてるようで安心した。
自分の夢に出た時も走り回っていたね。
ボールを返してくれず目が覚めてしまったので、返してもらわないと。
また、犬と暮らしたいな。ありがとう。