好物の話

好きな食べ物はみんな何かしらあると思う。

好きな食べ物は何？という質問に普通の物、例えばカレーや唐揚げやラーメンやハンバーグなど、を答えても面白みに欠けるよね、という話になった事がある(勿論、どれも美味しいし好物なのだけれど)。
飲んでる時のバカ話だったのだが、僕はその場で好きな食べ物は「あんかけ焼きそば」に決めた。
そんなバカ話のなかで好物を決めてからもう20年近く経つかもしれない。

青森で食べたあんかけ焼きそば

実際、あんかけ焼きそばは好きだったし、よく食べてもいた。
好物と設定してからは自己紹介などでも、あんかけ焼きそばが好きです、と言ったりするのだが、返ってくるのが
「美味しいお店教えて！」
これが難しい。例えば梅蘭や銀座アスターのような有名店ではなんか違うし、かと言って誰も知らないお店を伝えるのもどうなのか、と。

お馴染み梅蘭のあんかけ焼きそば

名前を言っても知らないお店の
あんかけ焼きそば

そもそも、劇的に不味い、が無い食べ物であり、劇的に美味い、がある食べ物でもない。
安定してある程度以上の物を中華屋に行けば食べる事ができる、それがあんかけ焼きそばの良さだと思う。

他の人と被る可能性が少ない食べ物を好物に設定した結果、会話のツールとしても役立ち(天気やニュースなど一般的なアイスブレイクより盛り上がる事もある)、割と覚えてもらえたりもする。
お！この店にはあんかけ焼きそばがあるぞ、とか、時には、○○のあんかけ焼きそばは美味しいよ、と教えてもらう事もある。
好物をあんかけ焼きそばと決めた時にはそんな事は当然想定していなかったが、結果としてそれからの日常での会話を増やしてくれていたりするので、なかなかどうして、酔っ払いのバカ話も馬鹿にできないと感じたりもする。

ネタ的に決めた好物ではあるが、今では本当に一番好きな食べ物になったあんかけ焼きそば。
いつの日か、
「美味しいお店教えて！」
に最高の回答ができるよう、これからも至高のあんかけ焼きそばを探して町中華を彷徨い続ける、と思う。
(もし至高のあんかけ焼きそばをご存知の方がいれば是非とも教えていただければと思います)

この短い文章で何回言うねん、あんかけ焼きそば、って、と我ながら思うがそれもまた良い。