ちゃんどら通信:探求する月
昨日、13:36に満月を迎えました。ナクシャトラはムリガシラ。
ムリガシラ:牡牛座23°20′~双子座6°40′
支配神は月の神、ソーマ。シンボルは鹿の頭です。
鹿が森の中を歩き回るように、ムリガシラには、追いかけること、探求すること、飛躍することなどの性質があります。
外の世界のものごとを追い求めることと、心の内側へ分け入ってみることの両方が対象です。
冬至を控えたこの時期、来年以降の自分の在り方を計画しようとしている方も多いと思います。自分の内側との対話に向くのがこのムリガシラのエネルギー。満月のエネルギーは数日続きますので、ムリガシラの鹿に導かれて、心の森へ入ってみるのもよいでしょう。
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ナクシャトラにはそれぞれ支配神がいらっしゃいます。そして、その支配神の物語がこのナクシャトラの性質の大きな部分を形づくるとされています。
インド神話には、数多くの神々のお話が記されています。その多くに、ナクシャトラを支配する神々が登場します。
インド神話は読んだことがなくても、ギリシャ・ローマ神話はご存知の方は多いと思います。全能の神ゼウスなど、日本人にもなじみがありますよね。ギリシャ・ローマ神話の神々も物語の中でちょっとした騒動を引き起こします。その騒動が私たちへの道徳的なあるいは哲学的な教えになっています。
それと同じようなことが、インド神話の中でも繰り返されています。
ムリガシラの支配神ソーマの物語も、なかなか興味深いものです。細かいところは割愛して、簡単にお話しましょう。
ソーマ神=月はあるとき木星の奥さんに一目ぼれしました。そして、なんと二人で駆け落ちしてしまったのです。神さま界は大騒ぎになります。その騒動を収めるために他の神さまが仲介役となり、木星の奥さんが木星の元に戻るように二人を説得します。
結局説得に応じて、木星の奥さんは木星の元に戻るわけですが、そのとき、奥さんは月の子供を身ごもっていました。
やがて、子供が誕生します。それが水星です。水星がとてもかわいらしく、木星は心が広いため、自分の子供でない水星を我が子として受け入れ、新しい形の家族を作っていくことになります。
このお話にはふたつ、大事なことが描かれています。
ひとつは、木星が我が子ではない水星を受け容れ、新しい家族を作ったこと。月の横恋慕がきっかけでしたが、結果として、新しい形の家族が生まれたわけです。
このことは、月=ソーマ神が支配するナクシャトラに新しいものを生み出す力という象意を与えることになります。
さらに、この新しい家族の始まりは、シンボルの鹿の頭が示していた、探すことにもつながっています。新しい家族は、誕生してめでたしめでたしではなく、ここからが探求の旅になります。模索し、答えを探しながら、家族の形を作っていくからです。
もうひとつは、月の子供が水星だということ。月は心を表し、水星は知性を表すとされています。
水星が月から生まれたということは、知性が心から生まれたということ。
私たちは、外の出来事を視覚や聴覚など感覚器官でとらえて自分の中に取り込み、その反応として、心の動きが作り出されます。
知性とは、ある種分析能力と考えられます。この分析する能力は、心の働きの内に存在するということなのです。
ゆらゆら動く心と知性は、別もののように思いがちですが、心の一部だとすると、知性を整え鍛えることが心の制御につながるのかもしれませんね。
色々と深読みできるソーマ神のエピソードですが、俗世間的にいうと、人の奥さんに恋しちゃったソーマ神の物語は、ラブコメドラマになりそうな月と恋心のお話ですよね。
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